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  [ 青い空を見上げて3rd 37 ]
2011-06-03(Fri) 06:35:19
阿久津城


メガネをしているけど、間違いなく青柳さんだ。
青柳さんは微笑みながら、こっちへ向かってくる。
俺とウツミは驚きつつ、その動きを見つめた。
「おまたせ、ヒロ」
青柳さんが微笑んでいた矛先は、
俺達ではなくなぜか赤石さんだったらしい。
2人、ひょっとして知り合いなんだろうか。

それから青柳さんは、俺とウツミを見て、
嬉しそうにこう言った。
「スウだ。本当にヒロの友達なんだね」
「だろ。まあここ座って話そうぜ。
 こいつら驚いてるからタネも明かしたいしさ」

2人は、俺達に判らない会話を交わし、
あははと楽しそうに笑っている。
俺とウツミは何がなんだか判らなくて、
頭にクエスチョンマークを浮かべるだけだった。

赤石さんの隣に青柳さんが座り、
俺とウツミにこう告げた。
「初めまして。僕は青柳四葉の兄の青柳一葉です」

まさか四葉さんの兄弟だったとは。
いや、しかし、そっくりなんてレベルじゃない。
まるで双子みたいだ、と思いながら見つめていると、
一葉さんにこりと微笑んだ。
「そう、四葉と僕は双子だよ」

対談前、四葉さんのことをネットで検索かけたら、
どうやら姉2人と兄1人がいるらしい、
と書かれてあったのは覚えている。
それが双子だとは、これっぽっちも思わなかったけど。
俺とウツミはクレウスとミレトスを浮かべながら、
頭のクエスチョンマークを消した。

よくよく話を聞いたら、双葉さんと蜜葉さん、
一葉さんと四葉さん、という兄弟層だという。
それにしても順番通りではない名前がややこしい。

そう言うと、一葉さんは苦笑いした。
「それはしょうがないよ。
 僕達を産んだのも名前を決めたのも、親だから」

そりゃそうだ、と言って笑う、赤石さん。
苦笑いだった一葉さんも、ぷっと吹き出した。
ウツミと目を合わせて、俺達も微笑む。

それから一葉さんはコーヒーを注文してから、
静かに雑誌を出した。
伊吹さんとウツミが対談したやつだ。

「四葉は、良く言えば天才肌、悪く言えば我儘。
 フィーリングが似ているせいか、撮影した写真から、
 楽しそうかどうかが判ってしまうんだ、僕」
「それで、対談が載った雑誌を見たら、弟にしては珍しく、
 楽しそうにやってるのが伝わってきたんだと」

だからつい、スウってどんな感じの子なんだろう、
と一葉さんは赤石さんに、呟いたと言う。
傍にいた赤石さんがそれを聞いて、
これはもしやウツミではないだろうか、と思い今に至る。
偶然の重なりと世間が狭さに、ぶるっと身震いした。

「四葉は自分がとれだけ有名か理解していないんだ。
 だから、モデルのことを有名にも破滅にもできてしまう。
 それほどのパワーを持っているんだけど、でも‥」
一葉さんは赤石さんに、にこりと笑った。
赤石さんは、ゆっくり頷いた。

「伊吹とはいい関係みたいだし、
 スウ君もいい子そうだから、まあ大丈夫かな」
いい関係って、それは仕事の相棒としてか、
それとも日常の恋人としてか。
とにかく、一葉さんは安心した様子だった。

赤石さんとアイコンタクトをとった一葉さんは、
コーヒーを飲んでからペンを置いた。
「ところで、これでも僕はミーハーでね、
 書けるんだったらサインを書いてもらえないかな?」
「あ、それはもうさっきやったから」

赤石さんが説明し、俺達はあははと大笑いした。

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ヒロとカズは相変わらずラブラブでした(´▽`*)

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