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  [ 青い空を見上げて3rd 42 ]
2011-06-14(Tue) 10:25:51
笹崎侑津弥


ジョーが怒ってテーブルを叩いた。
こっちの考えとジョーの考えが、擦れ違う。
ジョーは、ずっとここで暮らせばいいと言う。
だけど、俺はさすがにそうはいかないと思っていた。

大学に進学して、企業に就職して、
そうすれば仕事をしただけの給料だってもらう。
それなのに、いつまでも居候はできない。

せめて、家賃くらいは支払いたい。
そうすることで、俺だってのびのびと暮らせるし、
それが大人としての姿勢だろう。

でもきっと、ジョーは頑として聞いてくれない。
そんなことはしなくていい、ここにいればいいんだ、
の一点張り。
俺のこの考えは、ジョーにとって理解しがたいんだろう。

そういう思いも判らなくもない。
だけど、こっちの思いを少しは汲んでほしい。

それは、我儘なのか贅沢なのか。

説明なんて無駄か、と思ったらどっと疲れて、
ふうっと溜め息をついた。
たぶんそれが、ジョーを余計に苛立たせている。

睨み合っていても埒が明かない。
時間と距離を、今はムリにでも置くことにしよう。

黙ったままリビングを出ると、
部屋で上着を着てから携帯と財布を持ち、
頭を冷やすために家を出ることにした。
すると、ジョーが玄関まできた。

「ウツミ、ここを出て行く気なのか?」
「‥ちょっと頭冷やしてくる」

ジョーの顔を見ないまま家を出ようとして、
腕をぎゅっと掴まれた。
痛いくらいの力だったけど、
俺はそれでもジョーを見ようとはしなかった。

「行くのは構わないけど、すぐ戻れよ」
「‥そんなの判んない」
「ウツミの帰る家はここだからな」

そんなこと、言われなくたって判ってる。
判ってることをいちいち言われて、さすがにむかついた。

ちゃんとした恋人同士だとしても。

それでも個々の思考は別々だろうが。

「‥るさい」
「え?」
ジョーの手を投げるように振り払い、きっと睨んだ。

「うるさい!ジョーに俺の何が判るってんだ!」

俺の怒鳴り声に、ジョーが震えた。
そして、口を硬く締めながら斜め下に目をやる。
言ったことを悔やむような、そんな顔だった。

俺はジョーに言いすぎてない。
言わせたジョーが悪い。
だから、そんな顔をされても謝らない。
悪いことしてないんだから謝ることなんかない。

俺は下唇を噛み、家を出た。
この家じゃないどこかへ行きたかった。

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