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BL小説ブログ。危険を感じた方はお逃げ下さい。
  [ 青い空を見上げて3rd 47 ]
2011-06-25(Sat) 06:30:01
阿久津城


「仲村さん、どうしてここに?」
「阿久津こそ、どうしてここにきたの?」
部活の先輩が、吊り上がった目を大きくさせた。
「ちょっと人を探してます。
 仲村さん以外に、ここに誰かいました?」
「俺はここに20分前からいるけど誰もいないよ」
「そう‥ですか‥」

やっぱり、という気持ちで、肩を落とし唇を噛む。
らしくないほど落胆の態度が露骨だったみたいで、
仲村さんに心配された。

「阿久津、大丈夫?」
「あ、はい」
「誰か探してんの?俺も探そうか?」
「ありがとうございます。でも大丈夫です」

探すのも見つけるのも俺がする。
何となくそうしなきゃいけない気がするんだ。
でも、仲村さんの言葉は、すっげ嬉しくて、
親切にされただけで心強くなった。

「そっか。それならせめて、
 どんな人を探してるかだけでも俺に話してよ。
 帰りにどっかで見るかもしれないし」
人懐っこい笑顔で、肩をぽんぽんと叩かれた。

それくらい甘えても悪くないだろう、
とウツミの服装や髪型なんかを簡潔に説明をした。
見かけたらメール送るね、と仲村さんが微笑む。

「阿久津、ところで学園祭の課題もうやった?」
思い出したかのようにそんな話を振られて、
俺はしまったという顔をした。

そうだった、期限はあと1週間だった。
モデルのバイトやらなにやらで、すっかり忘れていた。
今年のテーマは夕焼けにでもしよう、
と漠然と決定はしたけど課題の着手はまだだった。

「いや、テーマは決めたんですけど、
 忙しくでまださっぱり手つけていません」
「去年の絵画、すごくよかったよ。
 今年もまたみんな期待してるからね」
「ありがとうございます」

仲村さんの課題について、訊ねようと思った。
けど、ウツミを探しに行きたいのと、
メールでいつでも聞けると思ってやめておく。

「すみません。それじゃあ俺はこれで」
「うん。また部活でね」
仲村さんに会釈し、俺はそこを離れた。

それから、ゲーセンに行った。
閉まりかけていたスーパーも覗いた。
商店街の裏路地や、片隅なんかにも目配りしたけど、
ウツミはどこにもいない。

ファーストフードに入ってコーヒーを飲みながら、
俺は携帯を開く。
ウツミにコールするも電源切ったままだった。

俺は連絡先を眺め、井出、マキ、荒本、
それから、大穴として波多野にも電話してみた。
だけど、ウツミは誰にもメールすら送っていない。
いらついて、ぱちんと強く携帯を畳んだ。

どこにいるんだ、ウツミ。

もしかしたらもう家に帰っているのか。

急いで戻るも、家は真っ暗で、
ウツミはまだ帰っていない感じがした。
とりあえず家に上がろうかと靴を脱いでいると、
コールが鳴った。

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しばらくエロがありません。
どうかご辛抱願います。
こういう時に限って、エロが頭をぐるぐる回ります。
もはや病気ですね(苦笑)


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