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  [ 青い空を見上げて3rd 50 ]
2011-06-30(Thu) 12:50:19
笹崎侑津弥


「伊吹君との写真、とてもよかったです。
 これからの活躍にも期待しています」
「‥ありがとうございます」
「楠さん、そのうちスウと食べに行きますから」
「いつでもお待ちしてますよ」
背の高い人は、楠さんという名らしい。
スーツにネクタイ、そしてメガネをかけていて、
これぞ大人っていう印象だ。

その隣では、学生っぽい男性が、
少しむっとした顔でこそこそと話しかけていた。
「どういう知り合いなんですか?」
「どういうって、ただのお隣りですよ」
「お‥お隣り?」

まさかの偶然に学生の男性だけではなく、
こっちまでびっくりした。
背の高い人は、驚く俺に、にこりと柔らかく笑いかける。

「私、伊吹君の隣に住んでいる楠と申します」
「‥笹崎侑津弥です」
「なるほど、イニシャルでスウというわけですか」

スウという名前の由来を瞬時に把握できるなんて、
楠さんはかなり頭がいいらしい。
それに感心してると、音がしてエレベーターが開いた。
男4人、それに乗り込んでも中は広く、
カーペットやら内装やらもちろん豪華そのものだった。

「楠さんは、パスタの店のお偉いさんなんだ。
 そこがまた美味いんだよ。今度、食いに行こう」
「‥あ、はい」
「伊吹君にはいつもご贔屓頂いてるんです」
「満さんの店って、そんなに有名だったんですか」
「だから、雑誌やメディアで特集されたと、
 あんなに説明したじゃないですか舞斗君」

舞斗、と呼ばれた人が、あははと苦笑いをした。
どうやら、楠さんのお店について、
有名だということを信用していなかったらしい。

それにしても伊吹さんが絶賛するくらいだ。
きっとすごく美味しいんだろう。
奢ってくれるなら行ってもいいです、なんて言ったら、
伊吹さんはどういう表情をするかな。
まあ、モデルでたくさん稼いでるだろうから、
奢るくらい痛くも痒くもないか。

22階に到着し、4人で同じ方向へ歩く。
先に家について足を止めたのは、伊吹さんだった。

「楠さん、おやすみなさい」
「おやすみなさい、伊吹君」

伊吹さんがカードキーでドアを解錠する。
ここを通過していった2人は、カップルみたいだった。
だって、舞斗さんの細腰に、
当たり前のように手が回されている。

きっと、カップルみたい、じゃなくて、
2人はそういう関係なんだろう。
ジョーのことを思い出しながら家に上がらせてもらった。

家中はアジアンテイストで統一されていた。
リビングではお香が焚かれている。
電気は、ほとんど間接照明になっていて、
オレンジ色が目に優しい。

それらを眺めていると、伊吹さんが接近してきた。
「スウ、それ全部脱げよ」

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