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  [ 青い空を見上げて3rd 58 ]
2011-07-15(Fri) 05:35:22
阿久津城


キスだけですか、そうですか。
セックスまでいってなくてよかったですよ、
とでも言えってか。
俺はすっげ怒りに満ちていた。
きっと、鬼のような顔をしながら、
どす黒いオーラを放っている。
俺は、こんな顔をウツミに見せたくなくて、
体を震わせながら下を向いていた。

怒りを抑えるには、これしかない。

俺は伊吹さんの胸倉を掴み、こう言った。

「ウツミにしたなら、俺にもキスして下さい」
合意を得ないまま強引に俺からキスをした。

驚きも焦りも、どちらもない。
伊吹さんは拒否もせずに、キスを受け入れた。

ウツミはこんな唇としやがったのか。
伊吹さんとウツミのキスシーンを想像してしまい、
俺は更にむかついて舌を入れた。

舌は退くことなく俺に絡みついてくる。
少しだけアルコール臭い。
くちゅ、と唾の絡む音が、静かな部屋に響いた。

ウツミを見ると固まっていた。
口に手を当て、震えながらこっちを見ている。
キスそのものへ驚いてるというよりは、
俺がいきなり迫ったことへ驚いているらしい。

ジョーは何がしたいんだよという目をしていた。
ウツミがそんな顔になるのも、当たり前か。

こんなのは愛の営みではない。
伊吹さんとの勝負みたいなものだ。
だからこそ負けたくない。

「ん、は‥っ」
伊吹さんが喘いだ時点で、俺は唇を離す。
勝ったと思いながら。

「ごちそうさんでした」
「いや、こっちこそ」

涎の垂れた口を拭って、伊吹さんは小さく笑った。
「ジョーとウツミのキス、やり方が似てる。
 さすが恋人同士ってな」

俺は思わずウツミと顔を合わせた。
たったあれだけのキスで、そこまで見抜くなんて。

敵わないと思いながら、
口を歪めてふうっと溜め息をついた。

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青い空3rdにて絶対入れたかったシーン。
第2位、ウツミと伊吹のキス。
第3位、ジョーと伊吹のキス。
第1位はもうちょっとあとに登場します‥。


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