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  [ 僕達の学園祭 6 ]
2011-08-27(Sat) 04:35:29
阿久津城


俺、井手、井手の幼馴染と捻挫の波多野で、
体育館のステージに移動する。
井出を先導に、人ごみをすり抜けていき、
ステージがよく見える前までくることができた。
ファッションショーは、競争もないし投票もない。
ただ、ここの服飾部から、プロになった人もいるらしく、
そのせいか、このショーを見るために、
アマチュアやプロが取材や下見にしにきているそうだ。
言われて周りをぐるりと見てみれば、
カメラを手にスタンバイする人がたくさんいる。

というのを、井手の幼馴染の説明で、
俺はついさっき知ったばかりだ。
去年の今頃、俺はアリゾナに行っていたから、
そんなことがあると知りようがなかった。

いよいよショーが始まるみたいだ。
周りが暗くなり、音楽のボリュームが徐々にでかくなる。
ステージ上にスポットライトが当てられて、
そこへ続々とモデルが登場してきた。

渋谷系、浴衣姿、サーファーファッション、
タキシードで登場したモデルもいる。
見ていて楽しくて、心をくすぐられる服ばかりだ。
モデルの男子のぎこちなさもいい味出している。

そこに、颯爽とウツミが登場した。

チェーンの音を鳴らしながらスウの顔で出てくると、
一気にステージのムードが変化した。

生徒やカメラを構えていた人々がざわつく。
あれってスウじゃないか、とウツミを見た誰かが、
ぽつりと呟くとそれが広まっていった。
あっという間にウツミのことが知られていき、
体育館は、たくさんの人で溢れ返るほどだった。

ショーが終盤になってモデル全員が、
ステージに並んで立っている。
そこの真ん中にいるウツミと目が合った。

にこりと微笑まれて、俺も笑う。
しかも、衣装のようなクールな笑顔だった。

笑顔を見た女子が、なにやら騒ぎ始めた。
私に笑った、違う私によ、と言い争う声が、
あちこちから耳に入ってくる。

ええい、やかましい、ウツミは俺のものだ。
なんて思いながらそれらをスルーしてやり過ごす。

すると、俺の隣に立っていた背の高い人が、
ウツミを眩しそうに見ながら、にっこりとした。
その反対側には、大学生っぽい男性がいて、
仲良さそうに耳元でこそこそと会話をしている。

背の高い人と目が合い、会釈されながら微笑まれた。
つられるように、俺も軽くぺこりと頭を下げる。

誰なのかは知らないけど、人はよさそうな感じだし、
会釈をシカトするほど常識外れでもない。
ステージを見ながら喋ってるなら、
モデルをやっている男子の親戚か知人あたりだろうか。

瞬間、ショーの終わりを告げる声がして、
体育館内が大きな拍手喝采に包まれた。
俺達も、背の高い人も、惜しみない拍手を送った。

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