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  [ 僕達の学園祭 7(完) ]
2011-08-30(Tue) 04:45:05
笹崎侑津弥


ショーが終わってから、服や顔を元に戻し、
校内をまたジョーと徘徊することにした。
俺はショーに出たことが恥ずかしく、
伊達メガネをかけて髪型もぼさぼさにして、
ジョーに隠れるようにして歩いた。
そして、ようやく美術部へむかった。
受付をしているのはジョーの先輩でもある、
仲村さんだと紹介される。
なぜかその隣にナツが座っていた。

「‥あれ?ナツって美術部だっけ?」
「いや、俺はどこの部にも入ってない。
 仲村さんとはバイト仲間で、ちょっと喋ってた」

明るい声でナツが言うと、仲村さんは微笑んだ。
そう言えば前に、バイトしてるって言ってたっけ。
猿のぬいぐるみがついたシャーペンを貰ったことを、
ここで思い出した。

「‥そっか。足大丈夫?」
「平気。バイトはしばらく休むことになるけど」
「いいよ、その分俺頑張るから」
と、返答したのは仲村さん。

仲村さんの目元、どこかで見たことあった。
吊り上がった目は優しくて、笑うと細くなる。
まあ、こういう目の人はたくさんいるか。

そんなことを考えていたら楠さんがやってきた。
隣には、当然かのように仲村さんもいる。
同じ苗字に同じ目元で、俺はあれっと思った。

「郁央、満さんと遊びにきたよ」
「こんにちは、郁央君」
「兄貴、満さん、きてくれたんだね」

なんと、見たことがあると思っていたら、
仲村さんと仲村さんは兄弟だったのだ。
仕掛けられたような偶然にびっくりしていると、
満さんに声をかけられた。

「笹崎君、こんにちは」
「‥こんにちは」
「君とはさっき体育館で会いましたね」
「ええ、どうも」

楠さんとジョーが挨拶を交わしている。
いつどこで知り合いになったのかを少し気にしつつ、
俺と楠さんは伊吹さん経由で知り合ったと、
ジョーに静かに伝えた。

「なんだそれ、すっげ偶然だな」
ジョーは溜め息をついた。

俺達6人は、その場で雑談を交わす。
キリのよさそうなとこで、俺とジョーは抜けて、
イラストを見に行くことにした。

ジョーは、イラストを部室でしか手掛けてない。
だから、どんなイラストを完成させたのかを、
俺はまだ知らなかった。
それを、ようやく見にきたってわけだ。

美術部の、独特な空気を味わいながら歩いていると、
ジョーのイラストを見つけることができた。

タイトルは、去年と同様に、空。

でも、このイラストは青一色ではなかった。
青からオレンジ色の、グラデーションが描かれている。

俺とジョーが混ざっている、そんな印象だった。

「あんま見んなよ」
「‥どうして?すごくいい」
「ははは、サンキュ」
「‥どんなイメージで、これを描いたの?」

ジョーは耳に唇を寄せてきた。
「俺とウツミに決まってんだろ」

やっぱり、と思いながらくすりと笑う。
すると、ジョーは照れたらしく赤くなった。

ジョーはこれを描いている間、
タイトルや絵のイメージを教えてくれなかった。
どんだけ聞いてもヒントすら教えてもらえず、
何かおかしいとは思っていたんだ。
俺とジョーをイメージした空のイラストか。

むずっとしながら、今度はこっちが耳打ちした。
「‥早く帰りたい」
「は?何で?」
「‥ショーに出たあとにイラスト見たから。
 この意味判るだろ?」

今度は、ジョーがにやりとした。
ショーに出たせいか、さっきから体が疼いている。
それに加えてこのイラストを見てしまった。
むずむずするものを、早くジョーに鎮めてもらいたい。

ジョーに腰を撫でられて体が震えた。
きっと、俺の目は、やらしく潤んだに違いない。

「クラスの打ち上げ出たらさ、5分で帰ろう」
「‥ん」

俺とジョーと笑って、クラスへと戻っていった。

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僕達の学園祭、これでおしまいとなります。
お付き合い頂きありがとうございました!


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b y | 2011.08.30(06:16) | | [EDIT] |
  +
コメント下さったK様

こんにちは!いつもコメントありがとうございます!
こちらこそ学園祭をご愛読頂きまして、
ありがとうございましたm(_ _)m
短いお話ですが、楽しんで頂けたようで良かったです♪

ウツミのギャップが激しくなってしまいました(^^;)
恋人に見せる時の顔、友人に見せる時の顔、
仕事で見せる時の顔、色んなシーンの顔があることを、
表現できるように努力しているので、K様や皆様に、
少しでもそれが伝わっていると嬉しいです。
でも、中でも特に、ウツミのギャップすごいですよね。
ジョーなんかウツミの前ではちょっとエロいくらいで、
あとはみんな同じように接している気がします。
と言いますかジョーはいつもへらへらしている気が‥(笑)

ジョーのイラストを、2人で見つめる場面を書きたくて、
この短編を執筆しました。
私の中で、ウツミは青、ジョーは橙、というイメージなので、
2つの色が混ざり合うなら夕焼けかなと‥(安直)
青空も夕焼けも、すごくキレイな時ありますよね。
そういうのを思い浮かべながら書いたお話なので、
イメージが伝わっていて安心しました(=^_^=)

次は新連載をやる予定だったのですが、
ありがたいことにカウンターが予想以上に回っていたので、
まず先に企画をスタートさせたいと思います。
エロ三昧な内容の予定ですが、
お付き合い頂けると嬉しいです(*´∀`)
b y 水色 | 2011.09.01(17:50) | URL | [EDIT] |

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