BLUE BIND
BL小説ブログ。危険を感じた方はお逃げ下さい。
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Author:水色
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青い空を見上げて (31)
僕達の体育祭 (8)
青い空を見上げて2nd (48)
君、何を想う (9)
風のように遥かに (39)
魚心あれば水心 (6)
雲の上の輪廻 (4)
その雪景色窓辺より (42)
傷痕は誰が為の (13)
星が刻んだ未来さえ (69)
その手はひとつじゃない (8)
青い空を見上げて3rd (70)
僕達の学園祭 (8)
蒼空と流星の狭間 (30)
見知らぬとこで七色が (42)
決めたゴールを走れ (93)
ゴールの先に在るもの (11)
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最終更新2013.6.2
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私にも何かやれることはないか、
と思ってリンクを繋ぎました。
小児ガンや無毛症、事故等で、
髪を失った方へ髪を寄付している
NPO団体のホムペです。
水色も伸ばして寄付する予定です。
ジャパンヘアドネーション
これは皆様もご存知のはず。
実は私、献血大好きなのです。
いつも400取ってもらってます。
体力的・時間的に余裕のある方々、
ぜひご協力をお願い致します。
日本赤十字社
寄付や献血を、行ったり訴えることが、
キレイ事に見えても構いません。
必要としている人がいるのは確かです。
実質的な行動はなくとも、
こういうのがあるということを、
知ってもらえるだけでも嬉しいです。
お読み頂きありがとうございました。
[ 見知らぬとこで七色が 4 ]
2011-11-01(Tue) 07:00:00
「それでは、お大事に」
「ありがとうございました」
ぱたん、とドアの閉まる音がして、
重かった瞼がふと開いた。
俺は布団の中で、ぐったりと横たわっている。
そして、見慣れない天井があった。
いや、今の俺に、見慣れている風景なんかないか。
俺は誰か。
そんなことすら未だ思い出せないんだから。
「やっと目が覚めたか」
ほっとしたように俺の顔を覗き込んできたのは、
虹のキャップを被っていた男だった。
家だからかサングラスもキャップも今はないけど。
「ずっと寝込んでたから心配だった。
ついさっき往診の医者に診察してもらったら、
ただの風邪だって。よかったな。
薬ちゃんと飲んで休んでれば、すぐによくなるって」
俺の前髪を上げ、シート状のゲルが貼られた。
自分の年齢も詳しくは判らないけど、
所持品やカートの洋服のセンスからして、
自分がそんなに子供でもなければ、
中年でもないことくらいは理解できていた。
それに、男が俺にタメ語で話している。
ってことは、タメくらいだと推測している証拠だ。
ぼーっとする頭でそんなこと考えながら、
風邪だけでよかったと安心した。
だけど、俺にはそれよりも気になることがあった。
「風邪よりも記憶のことは?」
「記憶?」
「そう。俺こう見えて、記憶喪失中」
「え?マジで?」
「マジだよ。こんなことでウソつかない。
俺が誰で、どうしてあの公園にいたのか、
さっぱり覚えてない」
マジメな顔で俺は言った。
すると、そいつは辛そうな顔になった。
俺は思わず吹き出した。
「どうしてお前がそんな顔するんだよ。
ウソかもしれないって疑ったりしないの?」
「そんなウソをつく必要なんかないだろう」
「それもそうだな。他人だもんな俺達は」
言っておきながら悲しくなった。
今の俺は、両親も兄弟も、友達も恋人も、
何にも判らない。
それは孤独ということ。
寂しくて悲しい。
悲しいけどしょうがないと思った。
だって、悲しんだって記憶は戻らないんだから。
「どうした?どこか苦しいか?」
男に訊ねられて首を振る。
すると、つっと涙が頬を伝った。
俺はどうやら泣いているらしい。
しょうがないと思っておきながらも、
やっぱり悲しくて辛かった。
情けないやら悔しいやら、涙がなぜか止まらない。
俺は布団を被り、男に震えた声で呟く。
「見るな」
「判った」
判ったと言いながら、俺の肩にそっと手が添えられた。
今はそんな慰めすらも、すごくありがたい。
記憶がなくても孤独ではない、と思えて楽になる。
俺は、声を堪えて少し泣いた。
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