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  [ 見知らぬとこで七色が 6 ]
2011-11-05(Sat) 05:05:23
ごはんを食べ終えてから熱を測る。
37度7分、熱はまだ高い。
薬を飲んでから俺は横になった。
「これから仕事行くけどトイレ大丈夫?」
男がアイスノンを持ってきてくれて、
温くなったアイスノンと変えてくれながら、
俺にそう訊ねてきた。

「今の所は」
「汗たくさん出てたもんな。
 まあ、寝てたしそっちは覚えてないだろうけど」
「そうだったんだ」
「うん。だから、スエットに着替えさせた」

俺がこれを着ているのは、そういうわけか。
それにしても、寝たままスエットに替えるなんて、
そうそう簡単にはできない。
よっぽど汗びっしょりだったんだな俺。

そんな男が仕事に行くという。
1人になるのがちょっと寂しかった。

「そっか。ありがとう。
 ところでさ、どれくらいで帰ってくる?」
「そうだな、たぶん10時には帰れるよ」
「‥俺ここに残っていい?」

男はちょっと驚いてから、すぐに笑顔になった。
「当たり前だろ。ゆっくり寝てろよ」
「うん。いってらっしゃい」

手を振ると男は笑って、ふすまを閉めた。
しばらくしてから、ばたん、と扉が閉まる音が聞こえた。
医者が出て行った音と同じだ。

医者の診察代、あいつが立て替えたのかな。
記憶によれば財布には5万もあった。
立て替えてもらってるなら後で払わないといけない。

ぐだぐだと考えていたら、いつの間にか眠っていた。
起きたら汗だくで、しかも4時間過ぎていた。

あと1時間で男が帰宅する。
着替えたいけどこのまま待機するべきだろうか。
スエットの替えがどこにあるか知らない。
でも、このままでいたら風邪が悪化するだろう。

そうだ、カートに洋服があったはずだ。
そっちに着替えればいい。
と、立ち上がろうにも力が入らなかった。
くそ、こんなところで諦めてたまるか。

俺は這い、ふすまを開けた。
すると、そこに男が立っていた。
男と目が合い、お互いに驚く。

「何?どうしたの?」
「あはは‥おかえり‥」
「おかえりじゃないって」
「汗かいたから着替えようかと思ったんだけど、
 カートがないから探そうかなって‥え、うわ!」

言葉の途中で突然、そいつに抱き上げられた。
まさか、こんな展開になるとは予想できず、
びっくりして硬直してしまった。

「着替えならすぐに用意するから、
 大人しく布団にいて?」
男が優しく低く囁いた。

キスできそうな近さに赤くなる。

って、違う違う。

男相手に、キスとか赤くなるとか考えちゃって、
そんなのおかしいだろ。
おかしさを振り払うように頭を振っているうちに、
俺の体が、男によって布団へ戻された。
男は、ふすまの向こうへ行ってすぐに戻ってきた。
手にはスエットを持っている。

「俺のこれ着て。カートのは洗ってあるか判らない。
 あとで洗って干すから」
「‥うん」
「そうだ。汗かいたなら体ちょっと拭いたほうがいい。
 清拭するのにタオルとお湯持ってくる」

俺の返事を待たず、男はまた部屋から出ていった。
そして、タオルとお湯の洗面器を持ってきた。

「ほら、体拭くから服脱いで」
「‥はい」

俺は、なぜか敬語で返事をして、
汗だくになったシャツを脱いでいった。
さっきの顔の近さを思い浮かべて、俺はまた赤くなった。

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