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  [ 見知らぬとこで七色が 9 ]
2011-11-11(Fri) 09:20:38
「名前?」
「そう、名前」
そいつは俺の布団を直しながら、切なそうに笑った。
「名前なんかただの記号だよ。
 だから、なんて呼んでくれても構わない」

名前が記号。

俺は少なくともそんな風に思ってはいない。

記号っていうよりは特徴なんじゃないかな。
なんて、自分の名前すら、
思い出せないでいる俺が言うのもおかしいけど。

それにしても、名前なんかただの記号なんて、
名前を教えたくないのか名前が好きじゃないのか。
それとも別の何かがあるのか。
俺から見れば、きちんと名乗れる記号があるだけ、
羨ましいことこの上ないというのに。

「それだと、俺が困る」
「お前とかおいとか呼ぶんじゃダメ?」
「ダメ」
「別にそんなの何でもいいのに」

男は唸りながら頭を掻いた。
このままでも男は名前を言わないだろう。
それなら、こっちにも考えがある。

「だったら俺が決めていい?」
「決めるって何を?呼び名を?」
「そう。何でもいいならニックネーム的なものにする」
「そこまで言うなら任せるよ」
観念したような表情で、男は笑う。

さて、どんな名前にしよう。
ボブとかジョンではナンセンスか。
だからって芸能人や有名人からパクるのは、
安直すぎるというか工夫がなさすぎる。

そうだな、どうせなら共通することがいいな。
っても、俺は男のことを何も知らない。
共通することは性別と、あとは何だろう。

と思ったところで閃いた。

「お前がコウで俺がエン。どうだ?」
「コウとエン?公園?」
「出逢った場所。覚えやすいし判りやすい」
「なるほど。それに、うん、エンって感じの顔してる」

男は、俺の頬をつんと指で突いた。
適当につけた名前だけど、これでいいみたいだ。

こうして、とりあえず呼び名が決まった。

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