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  [ 見知らぬとこで七色が 11 ]
2011-11-15(Tue) 09:50:16
寝すぎて眠れなくて、コウと少し話をした。
コウは、自分のことを話題にしない。
だからってわけじゃないけど、
必然とこれからについての会話がメインとなった。
「記憶を戻すにしてもまず体力を戻さないと。
 エンがいなくなって気にしてる人はいるだろうけど、
 歩けないと何もできないから」
「そうだね。俺もそれは考えてた」

もしも学生だったら、学校の人々が。
もしも社会人だったら、会社の同僚や上司が。
1人で暮らしているならともかく家族と住んでいたら。
連絡しないでいなくなれば心配する。
失踪届だって提出される可能性もある。

だけど、トイレへも歩いて行けない。
風邪をちゃんと完治させて、
しっかり歩けるようにならないと話にならない。

それから警察へと出向こう。

コウにこれ以上の迷惑はかけられない。

「いつか必ず記憶は戻るから、頑張ろう」
「ありがとう」

コウがガッツポーズをする。
俺も笑って拳を上げた。

それにしても、俺にはちょっと思うことがあった。
「コウって誰にでもこんなに優しいの?」
「は?急に何?」
「だって、得体の知れない俺に親切だし」
「誰にでもってわけじゃないと思う。
 でも、エンのことは放っておけなかったよ」

照れたように言ったコウ。
つられて、俺もちょっと照れてしまった。

「とにかくエンは、熱はそこそこ下がったし、
 ムリしない程度のストレッチを課題にするといいさ」
「うん、そうする」

早速、寝転んだままストレッチを開始した。
とっくに深夜だけど、眠れる気がしない。
だったら、できることから始めようと思ったのだ。

「それ手伝おうか?」
ストレッチする俺を見ながら、コウが訊ねる。

「大丈夫。手を借してほしい時は声をかけるよ」
「そう。だったら、パソコンでもう一仕事しようかな」

俺の耳が、ぴくりと動いた。
コウの仕事って、パソコンを使うらしい。
本当にコウってどんな仕事なんだろう。

コウは居間のテーブルにノートパソコンを設置し、
たまに俺のことを気にしながら、
キーボードを打ったりマウスを動かしている。
手伝おうか、とか、無茶しないで、とか、
そんな些細なコウの一言だけで、すごく頑張れた。

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