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  [ 見知らぬとこで七色が 12 ]
2011-11-17(Thu) 09:15:18
次の日の朝。
早速、手を借りないでその場で立てることができた。
だけど、膝が笑い、さすがにまだ歩くことはできない。
壁を伝って腰を下ろし、寝ていたコウを起こして、
またもやトイレへ連れて行ってもらった。
コウは隣に布団を引いて、ぐっすり寝ていた。
起こしちゃって怒られるかなと思っていたけど、
ぱっと目を覚ましてくれてすぐ手を貸してくれた。

「ストレッチ効いてるじゃない」
コウは嬉しそうに言った。

トイレから戻ったら、もう10時だった。
今日、コウは午後から仕事らしい。
帰りは遅くなる、とのことで、
俺のことをすごく気にかけてくれた。
トイレはもちろん、ごはんのこともだ。

俺は恐る恐る、コウに訊ねた。
「コウって、どんな仕事してんの?」
「接客かな」

イヤそうに、だけど思ったよりもさらりと答えた。
どんな接客なのかな。
もうちょっと幅を詰めたくて俺は訊ねてみた。

「ファミレスとかコンビニとか?」
「ん、まあそんなの」

ってことは、ファミレスやコンビニではない。
バーテンダーとか居酒屋とかかもしれない。
コウがバーテンダーだったら。
ルックスはいいし、それはそれで似合いそうだ。

「そんなに仕事気になる?」
「いや、そういうわけじゃないけど」
「だったら、エンがやるべきことをやらないとね」

早く体調を戻し、出頭しろっていう意味かな。
例えそうだとしてもコウははっきりと言わないだろう。
そういう優しさを持ってそうな気がする。

「そうだね。仕事、気をつけて行ってきて」
「ありがとう。できるだけ早く帰ってくるから」

俺とコウはまたシチューを食べた。
それから、サングラスをしっかりとかけて、
キャップを深く被ったコウは家を出た。

コウがいない間はテレビを見ながら、
ストレッチをしたり、休んだり寝たりして、
あっという間に5時間が経ってしまった。

トイレに行こうとして立ってみる。
つたい歩きなら、どうにか可能みたいだ。

と、膝が折れてつい棚に掴まった。
どうにか倒れずに済んだけど、棚の本が、
ばたばたと床に少し落ちてしまった。

「あちゃあ‥やっちゃった‥」
ぶつぶつ言いながら、本を拾い棚に戻す。

棚の奥に、DVDが並んでいた。
隠すようにこんなもの置いているなんて、
アダルト以外の何者でもない。

健全たる男子ゆえ、コウだって見るに決まっている。
どれどれ、コウはどんなの見てるのか確かめてやろう。

DVDを取る手が止まった。

そこにあったのは男性同士のアダルトDVDだった。

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