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  [ 見知らぬとこで七色が 15 ]
2011-11-24(Thu) 08:55:00
チョコを飲み終わって、並んで布団に入った。
すると、暗い中でコウが俺に話しかけた。
「ちょっと歩けるようになった?」
「うん。かなりね。でも、足がふらついて棚に‥」
棚のことなんて言わなくていいのに、
言ってからしまったと思った。
続きを言っても、止めても、コウは警戒する。

「棚?棚がどうした?」
「ちょ‥ちょっとふらついちゃってさ、
 ぶつかりそうだったけどギリでセーフだった」
「気をつけないと危ないよ」

咄嗟のウソに罪悪感。
胸の奥が、すごくもやもやする。
何でこんなに苦しいんだろう。

体を拭かれた時、唇が切れた時、
コウの顔が近い時、すごくどきどきした。
DVD見ても、気持ち悪いとか思わなかった。
コウがどんな性癖でもコウはコウだ。

俺、もしかして、そっち方面の人間なのかな。
いや、だからってコウを好きになったりしたら、
それはそれで単純すぎるだろ。

「エン、また唇を噛んでる」
暗さに慣れたコウが、また唇に触れる。
そして、顔をじっと見つめてきた。

「よかった、血はそんな出てない。
 唇が痛くなるからその癖は直したほうがいいよ。
 ん?あれ?」
と、コウが体を寄せてきて顔を近づけた。
近い近い近い、と目を閉じたら笑い声がした。

「エンのここにホットチョコついてる。あはは」
どうやら、唇のすぐ脇らしい。
拭いたつもりだけど拭ききれなかったのか、
チョコがついたままだったみたいだ。
こういうのって乾くとなかなか取れないんだよな。

「どこ?ここ?」
ごしごしと手の甲で擦ったけど、
取れなかったらしくてコウが擦ってくれた。

「そこなんだけど取れないみたい。
 どれどれ、ちょっと待ってて」
指を舐めてチョコ跡を擦ってきたコウ。
俺はびっくりして引いた。

「うわ!そこまでしなくていいって!」
「何で?こうすれば取れるじゃない。
 イヤだろうけど、すぐに終わるから」

また指を舐めて、唇の脇を擦る。
ちょっとだけ、コウの匂いが漂ってきた。
ああ、マジで心臓が爆発しそう。

瞬間、何かが頭を過った。

もしかしたら過去の記憶かもしれない。

「ほら取れた。エン?どうした?」
「今、ちょっとだけ昔を思い出せたっぽい」
「本当?どんな?」
「判んないけど誰かがいた。コウに似た人だった」
「そうか。何であれ記憶が戻るといいね」
「うん」

俺はそう答えて、コウに背を向けて目を閉じた。

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エンってばピュアすぎる(*´ε` *)
でも唾で擦られると少し臭いんですよね(爆)


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