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  [ 見知らぬとこで七色が 16 ]
2011-11-26(Sat) 09:25:00
翌日、俺はすっかり歩けるようになった。
そこで、コウにお願いをした。
俺がいた公園に行きたい、と。
「仕事があるから案内できないよ?」
「それでもいい」

もしかしたら何か思い出せるかもしれない。
真剣な表情で、コウを見つめる。
俺がマジだと判ったのか、コウが笑った。

「判った。そこまでの道のりだけど、
 バスなら10分、歩くと20分って感じかな」
「周りも見たいから歩いて行くよ。
 リハビリ兼ねてゆっくり歩いてくる」

すると、コウは地図を印刷してくれた。
そこへ蛍光ペンで、道にラインを引いてくれる。
しかも、ここにコンビニとか、ここにポストとか、
目印もペンで記入してくれた。

これなら絶対に迷子にはならない。
そんな確信さえ持てる地図だった。
地図と一緒に、はいと折り畳み傘を渡された。

「予報だと午後から雨降るって」
「ありがとう。すぐに帰るから」
「いや、のんびりしてきたらいいよ。
 これで昼ごはんでも食べてきて」

と、コウが札を渡してきた。
俺は慌ててそれを突き返す。

「こ‥こんなの貰えないって」
「いいんだって。これくらいさせてよ」
そこまで言われたら返せない。
渡された札をじっと見つめて、コウに礼を言った。

「ありがとう」
「こんなのお互い様だって。これも持ってって」
渡されたのはこの家のマスターキー。

「適当に行って適当に戻ればいいよ」
「うん」

朝ごはんを食べると、コウは深くキャップを被って、
サングラスもして、いってきますと出て行ってしまった。
玄関でコウを見送ってから、俺は歯を磨き、服を着て、
のんびり支度して出発することにした。

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