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  [ 見知らぬとこで七色が 39 ]
2012-01-26(Thu) 11:15:01
四葉さんにモデル2人がくる直前、
スタジオ使用許可をもらった。
理由を聞かれて簡単に答えると、くすりと笑われた。
「友達のためなんて桂馬君らしいね。
 いいよ、あるもの好きなだけ使ってね」
四葉さんに感謝しつつ、モデルに撮影許可をもらい、
洋服を指定し、少しだけ撮らせてもらう。
印刷所で働く友達に、そのデータを持っていって、
ポスター制作を依頼した。
A1サイズの、でっかいのを作ってもらう。

翌日、凛の家に、ポスターを持って行った。
それを広げるなり凛はびっくりした。
凛がデザインしたシャツを着た、
伊吹とスウのツーショットの宣伝ポスターだ。
しかも、コメントとサインのおまけつき。

「ポスターは店に貼るといいよ。
 こっちには、ポスターの元データが入ってる。
 ネットショップ用に使っていいから」
俺はポスターとデータを渡した。

「ギャラは?俺そんなに払えないよ?」
凛はすごく困った顔になった。
そりゃそうだ、ただでさえ借金を返済しているのに、
スーパーモデルにギャラを払えるわけがない。

「シャツあげた。ギャラはそれでいいってさ」
「まさか。それでいいはずがない」
「いいんだって。あいつら深く考えてないから」
わざと笑いながら言った。
あまり凛が困らないよう、陽気に振舞う。

「そういう問題じゃないって。
 伊吹とスウ相手に‥ギャラがシャツって‥」
「いいって言ってるんだからつべこべ言わない。
 言っておくけどポスターはきっかけを作るだけ。
 あとは凛次第だから」

凛はポスターを見ながら、軽く息を飲む。
笑顔なのにどこか不安そうだった。

ポスターが、吉と出るか凶と出るか。
それは誰にも判らない。
だけど、凛ならきっとやれると信じている。
そんな思いを込めて、凛の肩を叩く。

「俺ができるのは悪いけどここまで。
 あとは全力で応援するよ」
「ありがとう、桂馬」

凛はなぜか泣きそうな顔をしたいた。
そんな顔が愛おしくて、抱き締めてから顔を上げる。
キスをすると、凛がいつものように笑った。

「頑張れ」
「頑張る」
「で、する?」
「したいんだろ?」
「凛は?」
「言わなくても判ってるくせに」

前祝をするように俺達はまたキスをした。

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おまけ
「スウ、ポスターに落書しようぜ」
「‥子供じゃないんですから伊吹さん」
「んだよ、ノリ悪いな。
 じゃあいいや、俺スウにひげ書こうっと」
「‥ちょ‥やめて下さいっ」
「2人共、ひげ書くならコメント書いてよ」
「ノリ悪いな、桂馬も」
「そんなに落書したいなら、伊吹の眉毛、
 俺がぶっとく書いてやろうか?」
「判ったよ、悪かった。コメント書くって」
「‥はは、ぶっとい眉毛の伊吹さん」
「スウ‥そこツボに入るところかよ‥」

i様、これでお許しを(*´∀`)ノ


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