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  [ 青い空を見上げて2nd 2 ]
2010-06-27(Sun) 07:18:42
笹崎侑津弥


土曜の今日。
テスト勉強から開放されて、ようやく羽を伸ばせる。
あとはテストが戻ってくるのを待つだけだ。
まだちょっと腰が痛いのを俺は引きずっていた。
さすがに、おとといの4回が効いている。

今日は2人で、まったり家ですごした。
俺はソファに寝ながらマンがを読んでいて、
ジョーは、ダイニングで色彩の勉強をしていた。

試しにテキストを覗いたら、
色についての心理学的説明が載っていた。
ジョーは、テキストを楽しそうに眺めながら、
時折、レポートに何かを書きとめている。

難しそうな内容に眉間に皺をよせると、ジョーにキスされた。
だから、俺もジョーにお返ししてやった。

夕方、ピンク色のエプロンをしてキッチンに立つジョー。
今日は、どんなおかずを作るんだろうと楽しみにしていると、
キッチンから、ジョーの声が聞こえてきた。
「ウツミ、悪いんだけど豆腐を買ってきてくれないか」

マンガをテーブルに置いてキッチンへ行くと、
ジョーはフライパンに、麻婆豆腐の素から作っていた。
「‥豆腐、なかった?」
「そうなんだよ。タイミング悪くナスもなかった」

ジョーは長財布から、札を抜き取り、
俺のジーンズのポケットにねじ込んだついでに、
さわっと尻を撫でてきた。

「‥わ!何すんだ!」
びっくりして、俺はジョーから離れる。
「あはは。だってウツミのケツ気持ちいいんだもん」

最近、ジョーは俺の尻を撫でてくる。
かなり警戒しても、隙を狙われてしまうことが多く困ってる。
まあ、家だけでしか撫でてこないから、まだマシだけど。

「‥自分のを撫でろ自分のを」
尻をガードしながら言いうと、ジョーは言われたまま、
自分の尻を自分で撫でる。

「自分のケツじゃあ気持ちよくない」
にやりと笑いながら、ジョーが迫ってきた。

「‥と‥とにかく行ってくる」
俺は自分の尻を死守し、さっさと買い物にいった。

空が緋い。
こんな黄昏じみた緋色もいい。

昔は、晴れやかなブルースカイだけが好きだった。
あの青い空に溶け込んで、無になりたいとも思った。

だけど、ジョーと付き合うようになって、
前よりも少しは周りが見えてきて、
いいなと思えるものが増えたような気がする。

変わったな俺。

もう変われないかと思っていた。

ジョーとの出逢いに感謝しないと。

だからって、おとといの4回は帳消しにできないけど。

俺は、近所のスーパーで豆腐とアイスを会計した。
アイスを食べながらのんびりと家にむかって、歩いて行く。

すると前方に外国人の少年がいた。
いた、というよりは、困ったように立ち尽くしている。

本物の金髪に、キレイなブルーアイズ。
すらっと痩せていて、足が長い。
少年、といっても俺と同じくらいかな。

そして、この道には、俺だけしか歩いていない。
あと5メートルで擦れ違うというところで目が合った。

やばい。

俺は慌てて目を逸らし、わざとらしく俯いてみせた。
でも、向けられた視線は浴びたままだ。

まさか俺に話しかけたり、しない、よな。

ジョーならまだしも、俺はあまり英語が話せない。
自慢じゃないけど英語のテストは、いつも平均点以下だった。
数学はまあ得意だけど、この状況でそれは無意味だ。

ただちょっと擦れ違うだけなのに、どきどきしてきた。

あと4メートル、3メートル、2メートル。

「エクスキューズミー?」
ぽんっと肩を叩かれて、飛び上がるように驚く俺。

やっぱり話しかけてきた。

しかも、見事な英語の発音だ。

あ、英語は喋れて当然か‥なんて、
自分にツッコミ入れている場合じゃない。

俺は、首と手をぶんぶんと横に振った。
「‥あ‥あい、きゃんのっと、す‥す‥すぴーく‥」
「いきなり声かけて、ごめんなさいデス」
「‥え?」    
「ボクは道に迷いマシタ。あなたに助けてほしいデス」

少年の日本語は流暢で、首と手の動きが止まった。
どうやら普通に会話できそうだ、とほっと安心していると、
いきなり手をぎゅっと握られた。
そして、ガラス玉のような瞳で、じっと見つめられる。

思わず俺は、どきっとした。

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