BLUE BIND
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Author:水色
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僕達の体育祭 (8)
青い空を見上げて2nd (48)
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魚心あれば水心 (6)
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その雪景色窓辺より (42)
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青い空を見上げて3rd (70)
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蒼空と流星の狭間 (30)
見知らぬとこで七色が (42)
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と思ってリンクを繋ぎました。
小児ガンや無毛症、事故等で、
髪を失った方へ髪を寄付している
NPO団体のホムペです。
水色も伸ばして寄付する予定です。
ジャパンヘアドネーション
これは皆様もご存知のはず。
実は私、献血大好きなのです。
いつも400取ってもらってます。
体力的・時間的に余裕のある方々、
ぜひご協力をお願い致します。
日本赤十字社
寄付や献血を、行ったり訴えることが、
キレイ事に見えても構いません。
必要としている人がいるのは確かです。
実質的な行動はなくとも、
こういうのがあるということを、
知ってもらえるだけでも嬉しいです。
お読み頂きありがとうございました。
[ 決めたゴールを走れ 5 ]
2012-02-13(Mon) 09:20:00
その日の夜だった。
監督に呼ばれると居酒屋に誘われた。
本来は、レース数日前から徹夜続きになる。
昨日から実際、メカニックは交代でセッティング作業をし、
ほとんど仮眠しかとれない状態だ。
それでも、監督は強引に俺のことを誘ってきた。
一度は断れても二度は断れなかった。
佐原にチーフ代行をしてもらい、
レース場付近にあるレトロな居酒屋へやってきた。
座ってすぐにメニューを開く。
「前澤、飲みたいもの何でも頼んでいいぞ」
「では辛口の日本酒でも」
「渋いなお前。俺はウイスキーをロックで頼むかな」
「人のこと言えませんよ、監督」
それもそうだな、という笑顔になる監督。
店員にアルコールとつまみを適当にオーダーすると、
日本酒とウイスキーが早速運ばれてきた。
「じゃあ、まずは乾杯するか」
「あ、はい。お疲れ様です」
グラスを合わせて口をつける。
監督と飲むのはこれが初めてじゃない。
研修5日目に、みんなで飲みに行った。
当然、研修の講師をやっていた監督も一緒に。
だけど、マンツーマンは、これが初めてだ。
さすがの俺だって、いささか緊張してしまう。
「どうだ、最近の調子は?」
「あ、はい。いいですよ。
レーシングカーの仕上がりは順調にいってます」
「違う違う。車じゃなくてお前のことだ」
「そうでしたか。すみません」
謝ると笑われた。
監督との会話は、これまでもレーシングカーばかりで、
俺のことを聞かれるとは思わなかった。
そうか、監督なりに一応、
俺のそういうのも気にしてくれているのか。
「みんな頑張っていますから調子いいですよ」
「そうか。メカニックは調子いいわけだな」
からん、と鳴ったウイスキーの氷。
意味深な台詞を、わざとスルーする。
だけど、監督はスルーを容認しなかった。
「ドライバーとは?うまくいかないか?」
「そうですね。難しいと思います」
「それだけだとお前の努力不足が疑われちまうぞ」
「メカニックの仕事はセッティング作業であり、
ドライバーと仲良くなることではありません」
「だが、チームワークは必要じゃないのか?」
喉がうぐっと詰まった。
それを言われてはお終いだ。
ふと、監督の食いつきに疑問が湧いた。
「誰からどんなことを聞きました?」
「なかなか察しがいいな、前澤」
やっぱり、と俺は溜め息を吐く。
チームの誰かが俺ではなくて、
監督へ直接、後藤野さんのことを報告したらしい。
ドライバーのことを俺に言われてたって、
どうにもできないど、こういう形で監督に話をされるのは、
さすがにまずいし、ちょっと気まずい。
「すみませんでした」
「何がだ?」
「チームワークが上手くできていなくて」
「できなくて当たり前だ」
監督はウイスキーを空にして、店員におかわりを頼んだ。
できなくて当たり前、とはどういう意味なのだろう。
できるのが当たり前、が普通のチームの中身のはずだ。
それについて聞こうとすると、監督が先に言葉を発した。
「光とチームワークを組むのはムリかもしれん」
おかわりしたウイスキーのグラスで、
新しい氷がからんと鳴った。
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