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  [ 決めたゴールを走れ 17 ]
2012-02-29(Wed) 05:30:01
タンクの計器の修理が完了した。
この計器の故障により、ガソリンは空だってのに、
エンプティランプが点灯されなかった。
つまりは、ガソリンが空だったってわけだ。
ディーラーでガソリンを分けてもらうこともできた。
これでガソリンスタンドまで行って満タンにしてもらえば、
ひとまず大丈夫だろう。
後藤野さんにそれらを説明し、
ディーラーの店長に礼を告げ出発したのは、
ここにきてから2時間後のことだった。

走ってすぐにガソリンスタンドが見えて、
そこでガソリンを満タンにしてもらう。
後藤野さんに給油中、
コーヒーが飲みたいからついてこいと言われた。
店内は、生き返るように風が涼しかった。

誰もいないカウンターに座り、
俺達はアイスコーヒーを一気飲みする。
ぷは、とコップを置いてから話しかけられた。

「おい」
「あ、はい」
「地元への飛行機、まだあるか?」
「さあ、どうでしょう」
「トランスポーターは、とっくに次の場所に移ったぞ」
「そうですね」

実は既に、予約していた飛行機は出発していた。
そして、それが最終便であり、
次のフライトは明日の夜になってしまう。
電車という手段もあるが、場所がここから逆方向になる。
だったら、次のサーキットまで行って、サウナやカプセルホテル、
もしくは漫喫で寝泊まりしようか、などと考えていた。

こうなったのは後藤野さんのせいじゃない。

車のせいでも俺のせいでもない。

そういう運であり、タイミングだったってだけだ。

「まあ、どうにかしますよ」
「だったら俺に任せてもらう」
「は?」
「俺のせいなんだから俺がどうにかする」

悔しそうな顔をしながら、
ぐしゃ、と紙コップが潰された。
後藤野さんなりに責任感があるようだ。
それにしても、どうにかするって、
どうするつもりだろうか。

「後藤野さんのせいじゃありません。
 自分でどうにかしますから大丈夫です」
「それだと俺の気が収まらない」
「そもそも自分が勝手に修理しただけですから」

潰れた紙コップが、更にぐしゃりと潰された。
「つべこべ言わないでこい」

カウンターのイスから立ち上がってコップを投げ捨てると、
後藤野さんはさっさと運転席へむかった。
有無を言わさない態度と顔に、俺はやれやれと思いながらも、
ついていくしかなかった。

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