BLUE BIND
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最終更新2013.6.2
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髪を失った方へ髪を寄付している
NPO団体のホムペです。
水色も伸ばして寄付する予定です。
ジャパンヘアドネーション
これは皆様もご存知のはず。
実は私、献血大好きなのです。
いつも400取ってもらってます。
体力的・時間的に余裕のある方々、
ぜひご協力をお願い致します。
日本赤十字社
寄付や献血を、行ったり訴えることが、
キレイ事に見えても構いません。
必要としている人がいるのは確かです。
実質的な行動はなくとも、
こういうのがあるということを、
知ってもらえるだけでも嬉しいです。
お読み頂きありがとうございました。
[ 決めたゴールを走れ 18 ]
2012-03-01(Thu) 07:00:00
車はしばらく走っていった。
休憩なしで約2時間後。
当然のように高級ホテルへ到着した。
玄関のロータリーに侵入していく。
ホテルマンが傍に駆けてくると車が止まった。
「後藤野様、いらっしゃいませ。
ここからは車をお預かりします」
「どうも。ほら、バッグ持って降りろ」
「あ、はい」
後藤野さんと一緒に、バッグを持って降りる。
すると、エンジンが回ったままの車にホテルマンが乗り、
車をゆっくりと走らせていった。
ここからどこへ行ってしまうんだろう。
「車いいんですか?乗っていきましたけど?」
「ホテルマンがパーキングに入れてくれるんだよ」
「あ、そうですか」
さすが高級ホテルだけあってサービスが充実している。
こんなところ利用したことないから、
ピンからキリまで判らないことばかりだ。
出張ではビジネスホテルを利用していたし、
飲んだりして終電が無くなれば、
カプセルホテルを使うくらいだった。
つまりは、こんなホテルとは縁がないってこと。
「いつまで見てんだ。さっさとこい」
ホテルマンにドアを開けてもらい慌ててホテルに入る。
そこは、きらびやかなロビーラウンジだった。
値段も判らないようなシャンデリアで全体が照らされている。
高級さに思わず歓声が出かけて、ぐっと息を飲んだ。
ロビーラウンジには、場に相応の客と、
相応のホテルマンがあちこちに待機していた。
俺にはみんながきらきらして見える。
それに比べて俺は、こんな高級ホテルに、
汚れたシャツとジーンズで立っていた。
後藤野さんはフロントのカウンターで手続きしている。
その間は恥ずかしくて柱に隠れていた。
ひょっとしてこれは何かの罰ゲームじゃないだろうか。
はあっと溜め息が出てしまう。
「おい」
横からいきなり声がかけられた。
どきっとして、目ん玉がぼろっと飛び出かけた。
「あ、はい」
「ついてこい」
先に行ってしまった後ろ姿を、慌てて追う。
ふわふわの絨毯が引かれたエレベーターで10階へ上り、
奥のほうまで歩いていった。
到着したドアにカードキーを挿入すると、ドアが開いた。
玄関を入って廊下を歩くと、
ドラマでしか拝見したことのないような室内が、
俺達のことを出迎えた。
安いホテルしか知らない俺にとっては、
まさしく未知の空間である。
照明も家具も、ソファも、恐ろしいほど高そうだった。
「うわ‥っ」
ロビーラウンジで堪えられてた声は、
ここではもう堪えられなかった。
田舎者っぽさ丸出しでもいい。
とにかく、高級すぎて歓声しかない。
「おい、そんなに珍しいか?」
呆れたような声ですら、ここだと美しく聞こえた。
空間の能力、とでも言うべきか。
「あ、はい。こんなところ初めてきました」
「あっそ。今日はここで一泊するからな、
飽きるほど見られるぞ」
「え?俺ここに泊まるんですか?」
「じゃなきゃ連れてくるかよ」
後藤野さんの言葉に、さあっと青ざめた。
慌てた俺は、財布の中身を確認する。
所持金5万円。
飛行機代に、オフでのごはん代が含まれている。
こんなところに泊まるには足りないだろう。
「ここに連れてきたのは俺なんだから、
俺がちゃんと出すっての」
青ざめた俺に、ソファに座った後藤野さんが笑った。
「そんなことされる理由なんかありません」
「あるだろ、修理代」
「あんなのちょっと治しただけじゃないですか」
そうだよ、計器の故障も修理も茶飯事だ。
あれっぽっちのメンテナンスが、
こんなホテルの宿泊費と同等のはずがない。
やっぱり罰ゲームに違いない。
泣きそうな顔になると、後藤野さんが接近してきた。
「おい、メカニックには簡単だろうけどな、
こっちはお前がいなかったらここに着かなかったんだ」
大きな目で、きりっと睨まれた。
いや、睨んでいるように見えるだけで、
もしかしたら照れ隠しかもしれない。
「まあ、それはそうかもしれませんけど」
「だから、俺にここで礼をさせろ」
礼をしてくれるのは嬉しいけど、
それにしては妙に偉そうでおかしくなった。
きょとんとしてから、次はこっちが笑う。
「何だよ、笑うな」
「すみません」
そして、俺はこのホテルに泊まることとなった。
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