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BL小説ブログ。危険を感じた方はお逃げ下さい。
  [ 決めたゴールを走れ 19 ]
2012-03-02(Fri) 15:00:00
「俺はここで寝るんですよね?」
「ああ、そうだ」
「後藤野さんの部屋は?どこなんですか?」
俺はソファに座りながら訊ねた。
ここよりゴージャスな部屋に宿泊するんだろうけど、
だったらここへは何しにきたんだろう。
もしかしてバカにしにきたんじゃあるまい。
庶民が泊まる部屋を見ながら、鼻でふんと笑うのだろう。
この人だったらそれすらしかねないから怖い。

「ここに決まってる」
後藤野さんは、しれっと言った。

「ここなんですか?」
「ああ。ツインだからな、俺もここに泊まる」

しばし石化した。
自力でそれを解除して、慌ててベッドルームを見る。
シングルベッドが並んであり確かにツインだった。

ヘルメットを投げつけてくるような人と、
俺はここに泊まるらしい。
ツインルームだと知らずにここへ入ってしまったが、
何もかも危なすぎる。
メットならまだしも、そこら辺の花瓶を投げつけられたら、
惨劇となりサスペンス劇場になってしまう。

だらだらと冷や汗が流れていった。
体と心が、危険じゃないかと警告しているように。

「俺とここで寝るのイヤですよね?」
「しょうがないだろ。
 このホテルは人気があるから満室だったんだよ」
「それにしては、よくツインをとれましたね」
「俺はどこに泊まる時もツインだ。
 そうすれば、いつでも女を連れてこられるからな」

そこまで考慮してホテルを予約してるのか。
それにしても、いつでも女を連れてこられるって、
かなりの遊び人らしい。
まあ、俺にはそんなの別にどうでもいいけど。

「ついでに言っておくが、
 3年くらいはもう同伴してないぞ」
「どうしてですか?」
「これまで遊んできたせいか飽きてきた。
 あとは筋トレが楽しくてな、
 セックスより筋トレするほうがいい」

俺はセックスにも筋トレにも、どっちにも興味はない。
いや、セックスは嫌いじゃないけど、
女性とそこまでの関係になるのが面倒になっていた。
だからと言って、そういう店もあるが行くつもりもない。
わざわざこの人にこんなこと話すつもりはないけど、
そういう点で気が合いそうだ。

それにしても、気持ちがもう滅入ってきた。
こんなホテルに宿泊できる機会なんてないけど、
後藤野さんと一緒なら、野宿のほうが天国だ。

「おい」
「あ、はい」
声色もおかしく裏返る。

「とりあえず、ごはん食うぞ」
「どこかに行って食べるんですか?」
「いや、ここで食べる」

後藤野さんはフロントに電話をかけて、
食事をここへ用意するよう依頼する。
電話が終了し、次にこんなことを言ってきた。
「お前とりあえず脱げ」

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