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  [ 決めたゴールを走れ 20 ]
2012-03-03(Sat) 07:00:00
「脱げって服をですか?」
「そうだ。さっさと全部脱いじまえ」
後藤野さんが調子乗って、俺のシャツを捲る。
そのままの勢いでシャツを脱がされた。
「へえ、いい筋肉じゃん」
「これでも水泳部でしたから。
 ってそんなことはいいじゃないですか‥うわあ!」
「早くジーンズも脱げっての、水泳部」

ファスナーを下ろされてジーンズも取られた。
そして、ボクサーブリーフ1枚になってしまった。
隠すような体ではないが、やはり羞恥心はある。

こんな時に限って、ドアがノックされた。
どうぞ、と後藤野さんが大声出すと、
ホテルマン1人とシェフ1人が、
食事やワインのカートと一緒にここへやってきた。

俺はどうしていいか判らず、焦ってソファに隠れる。
慌てている俺のことを笑いながら、
クローゼットに入っているビニールに、俺の服を入れ、
後藤野さんはホテルマンに手渡した。

「これ、クリーニングして。
 染みはオイルのだから落ちないかもしれないけど」
「かしこまりました」

ホテルマンは袋を受け取ってから、
シェフと共に食事の支度を始めてくれた。
勘違いした自分へと、この人への怒りとで、
俺はソファに隠れながら赤くなる。

「代わりの服ないのか?さっさと服着ろよ」
「ありますよ、それくらい。
 それよりクリーニングに出してくれるなら、
 先にそうだって言ってもらえます?」
「あはは、悪い悪い」

バッグに突っ込んである服を出し、
代わりのシャツとジーンズを身につける。
さっき着ていたものと変わらない、安物の洋服だ。

そうこうしている間にテーブルが彩られていった。
たぶん、フランス料理だろう。
いくつものフォークとスプーンとナイフに、
食前酒のワインと前菜が、
テープルナプキンの上にずらりと並べられてた。

カートにはきっと、魚料理と肉料理、
それからデザートも置いてあるのだろう。
これだけでいくらすることやら。

「もういい、あとは勝手にやるから」
後藤野さんの言葉に、ワインを注ぐホテルマンが頷く。
そして、無表情のままホテルマンとシェフがこちらに一礼し、
料理を置いてさっさと部屋を去っていった。

「さてと、とりあえず食べるか」
着席した後藤野さんが、滝のような勢いでワインを注いだ。
マナーも何もなく、ワインを煽ってまた同じことをする。

俺は、そんな後藤野さんの真似をしながら、
フォークとナイフを使ってこれらを食べていった。

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