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  [ 決めたゴールを走れ 23 ]
2012-03-08(Thu) 06:00:15
数分後、顔を上げた後藤野さんは晴れ晴れしていた。
泣いたせいでどうやら少しすっきりしたらしい。
それを隠すように、恥ずかしそうに目元を擦っている。
そして後藤野さんは、再びワインをラッパ飲みした。
「はあ、すっきりした」
「よかったですね」
「前澤、お前の名前は何だ?」
「何ですか急に?」
「いいから教えろって」
「せいです。聖母マリアの聖って字です」

そう言うと、後藤野さんが爆笑した。
「よりによって聖母マリアときたか!」

酔っ払っているのか吹っ切れたからか、
どちらにせよ、ひいひい言いながら笑っていた。

そんなに笑われるようなことを言っただろうか。
いつも、名前を答えると文字も聞かれる。
さっきみたいに伝えるとみんな判ってくれるから、
ずっとそうやって答えてきた。
例えようがないとしても確かに、聖母マリアは偉大だ。
だけど、ひいひい笑われるほどではないと思う。

それを言うのも、ツッコミを入れるのも、
俺はしないでしばらく笑わせておく。
電池が切れるまで1人で笑ってればいいさ。

放っておいたら少しずつ静かになっていった。
そして、後藤野さんを見ると爆睡していた。
寝顔は無邪気で、黙っていればモデル並だった。

ここから俺にどうしろと言うのだろう。

いや、やることは判っている。

ワインの瓶をテーブルに置いて、
後藤野さんを横抱きし、ベッドルームへ連れていった。
マットに寝かせて、タオルケットをかけてやる。
まあ、これでいいだろう。

歩いて、汗かいて、笑って、泣いて。
後藤野さんはたった1日で、
かなりの体力を消耗したはずだ。

予想外の修理に、予想外の宿泊に、
俺もそれなりに疲れた。
さてと、そろそろ寝るとしよう。

後藤野さんの隣のベッドに寝転がり、俺は静かに目を閉じた。

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