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  [ 決めたゴールを走れ 33 ]
2012-03-22(Thu) 06:00:00
光さんのワインラッパ飲みに、チーム内で歓声が上がる。
俺はそれを見ながら、静かに日本酒を飲んでいた。
それにしても光さんは変わりすぎだ。
これが素なのかと思うと、ギャップに苦笑いする。

「チーフ、飲んでますか?」
隣にやってきたのは瀧だった。
青りんごサワーのジョッキを携えている。

「まあ、それなりに」
「後藤野さん、あり得ないくらい変わりましたね」
「変わったのかこれが素なのか判らないけどな」
「あはは、そうですね。どっちですかね」

瀧はサワーを飲むと、嬉しそうに笑った。
「でも、どっちでもいいです。
 今すごくチームってものを感じていますから」

瀧のような思いを、光さんやみんなも感じているだろうか。
少しだけでも感じてくれていたら嬉しいんだけど。

ワインを空にした光さんを見てから、瀧に笑う。
「俺もすごく感じている。チームっていいよな」

その時、背後からきた人物に、がばっと肩を組まれた。
持っていたコップが落ちそうになる。

「瀧、チーフ、楽しそうにエロ話しですか?」
にゅっと顔を出したのは、佐原だった。
顔が真っ赤で、かなり酔っていると見える。

「佐原、ちょっと飲み過ぎだぞ」
と言って周りを見ると、みんなも相当酔っていた。
中には横になり、眠ってしまった者までいる。

ここは早朝まで貸切で、寝てもいいと言われていた。
オフもなくレースが続いていたから疲れているだろう、
というオーナーの計らいである。
ちょうどいい室温となっている広間は、
座布団を枕にしたらぐっすりと全員が眠れそうだった。

そのオーナーは監督と片隅でひっそりと、
こそこそと話しながら飲んでいる。
片隅だけアダルトなムードが完成されていた。

そうして、飲んで3時間が過ぎると、
チーム内でもそれぞれにばらけ初めた。
バーへ行く者、キャバクラへ行く者、
ここでまだ飲んでいる者、ここでもう寝てしまった者と、
各々が好きなように行動を始めた。

俺はこれからどうしようか考えていた。
眠いほどは飲んでないが、ここで飲み続けるのも体に悪い。

瀧はとっくに寝てしまった。
三木谷と佐原は、他のメンバーとキャバクラへ行った。
監督とオーナーはバーへ行ったんじゃないかと思う。
俺はトランスポーターに戻って、ソファで横になろうかな、
なんて思った時だった。

「おい、聖」
隣にやってきた光さんが、にやりとした。

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