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  [ 決めたゴールを走れ 35 ]
2012-03-24(Sat) 06:00:00
「ところで、光さんにちょっと聞きたいんですけど」
「何だよ?」
「前メカニックチーフに何されたんですか?」
光さんが息を飲んだ。
こんな軽く聞いて、答えがあるとは思ってない。
だけど、少なくとも俺がきっかけで、
ちょっとでも元気になったのなら、
何があったのかを話してくれてもいいはずだ。
そんな淡い期待を抱きながら、重くならないように訊ねてみた。

光さんは答えるか。
ちらちらと立ち飲み屋を見ながら、答えを待つ。

すると、俺の腕にしがみついていた力を強めながら、
光さんがとうとう言った。
「襲われた‥」

その発言に俺は石化した。

襲った方も襲われた方も、どっちも男性ですよね、
と笑えるような感じじゃなかった。

チームにきた俺を睨んでいたこと。

俺がちょっと寄るだけで怖がっていたこと。

ヘルメットを投げつけるほど怯えていたこと。

そして、ホテルで泣いていたあの姿。

それらを総合すると、自ずと答えは見えた。
前メカニックチーフに襲われて、
光さんはメカニックそのものが嫌いになったんだ。
そのきっかけが、さっきの人物なのだ。

どこまでされて襲われたってことなのか判らないけど、
相当なことをされたと想像する。
自分のことのように立腹し、ぐっと拳を握った。

「聖、やっぱりいい‥」
「え?」
「もういいから‥どこか行こう‥」

震える足で、歩こうとする光さん。
その肩を掴んで前に出る。

「大丈夫。任せて下さい」
笑顔で、光さんに頷いてみせた。

「でも、聖まであいつに関わったら‥んっ」
青ざめた光さんの口を、手で覆う。
飲み屋のドアが開く音がしたからだ。
そこから、前チーフが出てきた。

「光さんはここにいて下さい。
 いいですね、何があっても動かないで」
頷いたのを見て、にこりと笑った。

俺は物陰を出て、前チーフの元へむかった。

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