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  [ 決めたゴールを走れ 56(R18) ]
2012-04-17(Tue) 06:00:00
光さんの手が、濁った液体で汚れた。
それを見ながら、はあはあと俺は息を荒げていた。
イッたばかりで心も息も落ち着かない。
だけど、光さんの手くらいは拭かないと。
「すみません‥今ティッシュ取りますから‥」
ティッシュに手を伸ばそうとすると、
ぼーっとしたまま、光さんが手をぺろりと舐めた。

そんなもの臭い匂いがするのに。

まずいに決まっているのに。

精液を愛しそうに舌先で舐めている。

今までにこんなこと誰にもされたことがない。
舐められるなんて思ってもみず、
どくどくと脈のスピードが早くなった。

「そ‥そんなもの舐めたら汚いですよ」
「たんぱく質が汚いのか?」
「そういう屁理屈はいいです。
 ほら、ティッシュで拭いて下さい」
「クエン酸も入ってるって聖は知らないだろ」

たんぱく質だのクエン酸だの、どうでもいい。
急いでティッシュを抜き、光さんの手をよく拭いた。
そもそも、何でそんなことを知っているんだか。
無駄知識に、恥ずかしさや照れが薄れていく。

ようやく手を拭き終わった。
汚れたティッシュは捨て、新しいティッシュを取り、
萎えたけどまだ濡れているソレも拭う。
ファスナーの中にソレをごそごそと戻していると、
光さんが笑いながら言った。

「ご馳走さん」
「あ、はい。こっちこそお粗末でごさいました」
「あはは、おかしな日本語になってんぞ」
光さんは上体を起こして、汗で濡れた髪を上げた。

こんなことしておいて、光さんはよく笑っていられる。
出来事としては2回目でも、馴染みのない経験のせいか、
どんな顔でいればいいか判らない。
普通でいいのに普通がどんなものか、それも思い出せない。

さっきのおかしな日本語は緊張しているせいだ。
恥ずかしいとか照れたりとかは薄らいでいるけど、
直後のせいかそれなりに緊張する。

光さんはどんな顔をしているだろう。
気になるけど見られない。
何となくこっちを見てそうな気はするけど、
それを知るには、時間がもうちょっと必要だ。

「シャワー浴びてきます。
 それとも、先にシャワー浴びますか?」
「先にシャワー行っていいぜ」
「あ、はい。それじゃあ行ってきます。
 これ飲んでて下さい」

顔を見ず、コンビニで買ってきたビールを渡す。
光さんが取ったのを確かめて、俺はタオルを手にし、
逃げるように風呂場へ入ってしまった。

今日1日、たくさんのことがあった。
お陰で、汗びっしょりで体がべたついている。
べたついているのは歩き回ったからばかりではなく、
光さんとあんなことをしたからだと思うけど。

汗や何やらを洗い流して、シャワーを止めた。
体を拭いて服を着て、タオルで頭を拭きながら、
光さんのところへ戻る。
よし、そろそろ光さんを見ることができそうだ。

「光さん次どうぞ。あれ?」
光さんはビールを空にして寝てしまっていた。
安心したような安らかな寝顔だった。

俺はテーブルを動かし、布団を2枚引く。
光さんを転がして寝かせて、静かに掛布団を重ねた。
いつかネタにするのに、寝顔を携帯で撮影する。
これくらいの特典はあっていいはずだ。

そして、黙々と冷えきった弁当を食べてから、
俺は光さんの隣で寝た。

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