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  [ 決めたゴールを走れ 57 ]
2012-04-18(Wed) 06:00:00
「おい、聖。起きろ聖」
「あ、はい」
目を開けると俺の隣に、機嫌のよさそうな笑顔で、
光さんが屈んでいる。
「おはよう、聖」
「あ、おはようございます。何時ですか?」
「6時だ」

慌てて携帯を見ると、やはり6時だった。
レース場までは、電車だけで2時間かかる。
監督の通達では集合は8時だ。

アラームをセットするのを忘れてしまっていた。
俺は青ざめながら体を起こす。

予選のタイムアタックはすぐ開始されないけど、
その日のサーキットのコンディションに合わせて、
マシンのセッティングの直しが必ずある。
だから、本来なら8時に集合でも、
チーフだったらその1時間前にいないといけないのに。
完全なる自分のミスだ。

ここで狼狽しても仕方がない。
ひとまず心を落ち着かせて、とりあえず出発の支度をしよう。
溜め息をつきながら体を起こすと、優しく微笑む光さんが、
俺を静めるように頭を撫でてきた。
「車でぶっ飛ばせば、レース場に1時間で着くって」

この言葉から、光さんのいつもの車が、
近くのコインパーキングにあるのだと判った。
それを踏まえて、タイミングを図って起こしてくれたのか。
参ったな、敵わないや。

「そうですか」
ほっと力を抜きながら、光さんを改めて見つめる。

どうやらシャワーを浴びてきたらしく、
髪を濡らしたままタオルを肩に乗せていた。
しかも下着一枚姿ときた。
ダークグレーに赤いラインの入ったボクサーパンツが、
イヤでも目に入ってしまう。

「ん?どうした?さっさと着替えるぞ」
俺をあやすような声と、上目遣いでの笑顔。
それに加えて、白い肌に、首から肩、
肩から腰のラインが、滑らかで色っぽく見える。
ごくり、と思わず息を飲んだ。

光さんの気持ちを知ったせいか、
顔も目も唇も、何もかもが輝いて見えてしまう。
恋のパワーとは恐ろしいものだ。

笑う光さんの髪に触れる。
手を後頭部に回し、引き寄せてそっと唇を重ねた。
俺からのキスはこれが初めてかもしれない。

キスしたくなったんだからしょうがない。

好きだから触れたいし、触れてもっと好きになりたい。

こんな気持ちになったのは、生まれて初めてだ。

赤くなった光さんに、にこりと笑いかけた。
「はい、さっさと着替えます。
 トップを獲りに行きましょう、一緒に」

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