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  [ 決めたゴールを走れ 58 ]
2012-04-19(Thu) 05:45:00
車に乗る前、おにぎりとお茶を買ってきた。
それらを食べながら、光さんが車をぶっ飛ばし、
1時間後にサーキットへ到着した。
快晴、風はほとんど吹いていない。
暑くも寒くもなく、気温も平年並み。
そんな中ピットへ歩いていく。
既にスタッフが揃っており、オーナーと監督もいた。

硬く口を結び、光さんはピットに入った。
みんなが光さんを見ている。
さて、これからどうするのだろう。

「すみませんでした!」
体を90度に曲げ、ピット内に響くほど、
光さんは大声で謝った。
誠意の込められた謝罪で潔かった。

これまでの光さんだったら、
こんなことしなかっただろう。
だけど、これまでの積み重ねがあるからこそ、
光さんをここまで強かにさせた。

謝ることには強いエネルギーがいる。
ましてや、光さんは無言で消えた。
みんなに探させて、チームに迷惑をかけた。
それを謝るのは、相当の勇気と、
強いエネルギーが要っただろう。

それが判ったからこそみんなは笑った。
その潔さに、スタッフは光さんを許したのだ。

そんな中を監督が歩いてくる。
すごく怖い顔をして、光さんの前に立った。
光さんをぶん殴りそうな感じさえした。
だけど、そんなことはせず、ぽんと肩を軽く叩いた。

「借りは走りで返せよ」
「はい!」
「よし。マシンの準備急ぐんだ!」

監督がメカニックに指示する。
メカニックチームは、笑顔でマシンの準備をした。

光さんはサーキットのコンディションチェックに入った。
佐原や瀧に微笑み、俺もポジションに着く。
そこへ、監督がつかつかと真顔のままやってきた。

「よくやった、前澤」
「いえ。ここに戻ろうと思ったのは光さんです」
「そうか。光を見つけてくれて礼を言う」
俺は頷き、マシンチェックにとりかかった。

チェックを終えて、光さんがレーシングカーに乗る。
エンジンは回っていないが、
アクセルとブレーキを踏んで硬さを確かめているようだ。

「光さん、ブレーキの最終調整はできませんよ」
「そうだな。でも、聖のブレーキは初めからよかった。
 まあ大丈夫だろ」
笑顔の光さんが親指を立てる。

当初はあんな態度だったくせに、
ブレーキについては認めてくれていたらしい。
俺も親指を立て、にこりと笑った。

そして、予選は2位。
速度もブレーキも安定している。

明日の決勝に、チーム全員がわくわくした。

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