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  [ 決めたゴールを走れ 63 ]
2012-04-24(Tue) 06:00:00
タクシーは、でかい病院に到着した。
色んな科のある、いわゆる総合病院らしい。
料金を支払い、礼を言って車を下りて中に入った。
すぐ受付があり、そこへ足を進める。
事務服を来た女性達が、忙しそうに動いていた。

受付の仕方を聞きたくて待ってみたものの、
誰1人としてこっちへきてくれる気配がない。
なので、思い切って自ら声をかけた。
「初診なんですけど受付できますか?」

受付担当の女性1人、奥から歩いてくる。
無愛想というよりは無表情で、冷たく言い放った。

「本日の受付は、とっくに終わりました」
言うだけ言い、女性は俺から足早に去った。

言葉も態度も、ちょっと酷すぎる。
病気になったからこそ病院にくるのだから、
そういう言い方はあんまりだ。
病院まできたってのに診察してもらえなかったら、
どうすればいいのだろうか。

いや、さっきの女性がはずれだった可能性がある。
一か八か、こうなったら手当たり次第当たってやろう。

「あの!すみません!」
大きな声を出すと、さっきとは別の女性が奥からきた。
紫のメガネを指先で上げながら、
つかつかとヒールを鳴らしてやってくる。

「何でしょう?」
「どうしても診察してほしいんです。
 どうやったら受付してもらえますか?」
「本日の受付は‥」
「終わったのは判ってます。これ見て下さい。
 重症だってこと理解できますよね?」

焼き焦げた手を見せると、うっと呻かれた。
受付の女性が、口に手を当てて目を横に逸らす。
その手を上げて、紫のメガネをまた上げた。

「でも‥本日の受付は‥」
どうやら、マニュアルが絶対であり、
重症であろうとも受付はしてもらえないらしい。

どうしたらいいんだろうか。
外から救急車でも呼ぶか。

そんなことを考えていた時、初老の医師が、
書類の用紙らしきものをメガネの女性に手渡した。
「君、これをお願いします」

いいタイミングでありチャンスでもあった。
直談判したらすんなりと診察してもらえる可能性がある。
初老の医者に、横から声をかけた。

「あの!すみません!」
「はい?どうかしましたか?」
「受付終わってますけど診察してもらえませんか?」

必死になってケガした両手を、広げて見せる。
医師は、目を広げながら手を見た。

「すごい火傷ですね。んん?おや?
 ああ、なるほど。君はさっきの人ですか」
さっきの人も何も俺は今しがた、ここにきたばかりだ。
言っていることが判らずにいると、にこりと微笑まれた。
安らげる優しい笑みだった。

「いいでしょう。私がケガを診ましょう」
「ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げると肩を叩かれた。

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