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  [ 決めたゴールを走れ 87 ]
2012-05-21(Mon) 06:00:00
午後、スタッフが集まり始める。
優勝したのは昨日なのに、
ピットの賑わいが懐かしい気がした。
レースは勝って終わりじゃない。
これこらだって、まだまだ続いていく。
その証拠がこの資料だ。
ずっとずっと勝ち続けるために、
チームのミーティングをかかしてはならない。

しかし、まあ、この面子ではいささか不安だ。
なんせメカニックの半数以上がグロッキーときた。
優勝に浮かれて二次会に行くのはいいけど、
ちょっと気が緩みすぎだし、さすがにこれはだめだろ。

そんな光景に俺は苦笑いした。
光さんは呆れていて、はあっと溜め息を吐いた。
監督はみんなに落胆しているし、
オーナーは笑うしかないといった感じだった。

そんな中で光さんが、ミーティング前に車でダッシュし、
二日酔い対策のドリンクを多量に購入してきた。
全員分あるみたいで二日酔いしていないスタッフにも、
それを配って回っている。

もちろん、俺にも配られた。
いらないからと光さんに返そうとしたら、
ぐいっと手で押し退けられた。

「別に今じゃくてなった時に飲めばいいだろ」
なんて怒ったように言っていたが、
スタッフ全員を公平にしてるって、すぐに判った。

光さんの優しさに笑うと、むすっとされた。
あ、そうか、むすっとしてるのは照れているからか。

「おい、聖。そこで笑うな」
「あ、はい」
「前からちょっと思ってたけど、お前の返事は軽い」

それについては、これまでも人に言われてきた。
あ、をつけるのは、いつからか癖になってしまった。
軽そうに聞こえるのは生まれ持ったものだし、
こればかりは今更どうしようもない。

「そうですか?」
「そうだ」
「偉そうに聞こえるより、いいじゃないですか」
「俺にケンカ売ってんだろ?」
「高くていいなら買ってくれます?」

にこにこ笑いながら言う。
俺にしては珍しく、嫌味に対して嫌味で返した。
すると、光さんが両手を上げた。

「それは万歳ですか?」
「もうお手上げだ」
光さんは監督の元へいき、
早くミーティングを始めようとぼやいた。

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