BLUE BIND
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Author:水色
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僕達の体育祭 (8)
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その雪景色窓辺より (42)
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青い空を見上げて3rd (70)
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髪を失った方へ髪を寄付している
NPO団体のホムペです。
水色も伸ばして寄付する予定です。
ジャパンヘアドネーション
これは皆様もご存知のはず。
実は私、献血大好きなのです。
いつも400取ってもらってます。
体力的・時間的に余裕のある方々、
ぜひご協力をお願い致します。
日本赤十字社
寄付や献血を、行ったり訴えることが、
キレイ事に見えても構いません。
必要としている人がいるのは確かです。
実質的な行動はなくとも、
こういうのがあるということを、
知ってもらえるだけでも嬉しいです。
お読み頂きありがとうございました。
[ 決めたゴールを走れ 89 ]
2012-05-23(Wed) 06:00:00
「前澤、どんな話か判っているか?」
「はい」
神妙な監督に、俺はこくりと頷いた。
「何をしたから呼ばれたと思っている?
今ここで言ってみろ」
「配置の放棄、指示の無視、勝手な整備、
それによって起こしてしまったケガです」
その通りだと言うように、静かに監督が頷いた。
「あれがレース終盤だからいいが、始盤とか中盤なら?
前澤のケガが原因で、ロリポップは誰が持つことになる?
緊急時の指示は?誰がピットで出せる?」
いじわるな質問だった。
じわりと額に汗をかいて、掠れた声色で答える。
「始盤ならみんなの士気低下があったと予想されます。
ロリポップも、指示も、チーフの代わりは誰もいません」
「そこまで判っていて、どうしてあんなことをした?」
「光さんに勝ってほしい、ただそれだけでした」
「勝利することは大事だけどな、
ポジションを死守しなければ意味がないんだぞ」
モータースポーツというのは、そういうものだ。
ルールを遵守してこそ、勝利することに意味がある。
ポジションを無視してまで無茶をしたからこそ、
こういうケガに繋がってしまった。
こんなこと毎回していたら、それこそ身が持たない。
監督の台詞が、心にぐさりと刺さった。
でも、言い訳も、謝罪もここでしたって意味はない。
俺は黙ったまま監督の目を見つめた。
「人事についてはオーナーより一任されている。
クビにするのも左遷させるのも、俺次第だ」
きた、と体がびくりと震える。
その時だった。
隣の光さんが頭を下げた。
「監督、ケガをさせた俺にも非があります。
だから、聖のこと許して下さい」
決勝レースの予選で、失踪してみんなに心配かけたと、
光さんはピットでスタッフに謝った。
でも、これはそうじゃない。
己のためではなく俺なんかのために、
プライドを捨ててまで、こうして頭を下げている。
そんなことしなくていい。
光さんはいつもみたいに偉そうにしていればいい。
下っ端メカニックのために頭を下げなくていい。
それでも、嬉しくて胸がじんと熱くなった。
涙が出そうになって目が潤んだが、ぐっと堪える。
「どうしてそこまで前澤にこだわるんだ?
光は昔、ヘルメット投げるほど嫌いだっただろ?」
監督が、不思議そうな表情になった。
「それは昔の話です。今はもう違います。
聖がいたからウイングを作ってもらえた。
聖がいなかったら俺はドライバーを辞めていた。
俺にとっての聖は‥最高の仲間です‥」
光さんは泣きそうな顔で、強くそう訴えてくれた。
言葉よりも気持ちで、思いが伝わる。
光さんを制し、俺は一歩前に出た。
「ありがとうございます。
光さんがそう言ってもらえて嬉しかったです。
監督、俺をどうにでもして下さい。
クビでも左遷でもいいです。
今回のことはドライバーには関係ありません」
「バカ!それでいいのかよ!」
「いいんですよ、これで」
あなたを守れる男になりたい。
でも、こんなに守られてすごく幸せだ。
だから、もう、それだけでいいんだ。
涙を溜めながら怒る光さんに、精一杯に微笑んだ。
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