BLUE BIND

BL小説ブログ。危険を感じた方はお逃げ下さい。
  [ 銀の翼が恋を知る 9 ]
2012-07-31(Tue) 09:30:00
部活終了後、着替えている最中にタツから、
ごはんを食べに行こうと誘われた。
ファーストフード店へ行くことになり、
バッグを整理するタツを、嬉しくて眺めていた。

すると、傍にいた小高に笑われた。
やっぱり付き合ってんだろ、
と言いたそうに右肘で突いてくる。
そんなんじゃないっつってんだろ、
と言い返すような目で睨むと、
小高はやれやれといった笑顔になった。

バカにされないだけマシかもしれないが、
小高のああいった態度にむかついた。
だけど、急に恥ずかしくなり顔が赤くなった。
顔を見られないように手で隠すと、
小高は肩を震わせ俺達の傍を離れた。

そんなことがあったとは知りもしないタツと、
歩いてファーストフードへ行く。
いつもの席で食べる、いつものメニュー。
何も変わらないのに俺の心はいらいらしていた。

「リュウ、どうした?」
「どうもしない」
「いらいらしているではないか」
「そうか?そんなの気のせいだろ」
「気のせいではない。何にいらいらしている?」

俺は何に対し、いらいらしているのだろう。

タツと進展がないからか。

小高のやれやれといった笑顔にか。

それとも、サッカーや進学についてか。

恋愛も友人関係も学校も、中途半端だ。
はあ、と溜め息を吐く。

「俺にも判らない」
「そうか。誰にでもそういう時はある」
タツは神妙な面持ちで、
何も聞かないでそれに耳を傾けてくれる。

ジュースを飲み干し帰ることにした。
明日もまた学校も部活もある。

立ち上がるとタツに手を握られた。
「リュウ、家まで送って構わんか?」

びっくりして、タツを見た。
タツは至ってマジメな顔をしていた。

「いいけど反対方向じゃんかよ」
「少しリュウと歩きたいのだ」
俺は手を握り返し、嬉しさを隠しながら頷いた。

次話へ 前話へ

お気に召しましたら一票お願いします。
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
銀の翼が恋を知る | TB:× | CM : 0
銀の翼が恋を知る 8HOME作者の独り言 27

COMMENT

COMMENT POST

:
:
:
:



 
 管理者にだけ表示を許可する


copyright © 2024 BLUE BIND. All Rights Reserved.
  
Item + Template by odaikomachi