BLUE BIND

BL小説ブログ。危険を感じた方はお逃げ下さい。
  [ 銀の翼が恋を知る 14 ]
2012-08-30(Thu) 07:30:00
翌日の昼休み、タツの教室へむかう。
そこには、3年には秘密で、
今日からやるメニューについて説明をしている、
タツの逞しい姿があった。

ちなみに、2年のみが集結しており、
FWの小高、MFの五十嵐、小高の左隣に三波、
俺にタツというメンバーが揃っている。
五十嵐とタツがとても親密そうで、
情けないことにやきもちを妬いてしまった。

五十嵐は、容姿もいいし愛想もいい。
女子にも人気で、五十嵐だけを目当てに、
試合を見にくる女子も現れるくらいだ。
だから、まあ何と言うか、
五十嵐とタツはお似合いなわけだ。
こんな目線なのは、もちろん俺だけだろうけど。

やきもちを隠しながらイスに座る。
すると、にやにやした小高が質問をしてきた。

「どうした?歯でも痛いのか?」
「歯?歯なんて痛くないし」
「あっそ。頬がぷっくり膨れてんぞ」

そう言われ、手で顔を隠す。
どうやらやきもちを隠し切れてなかったようだ。
くそ、小高はこういうとこ敏感なんだよな。

いや、でもそう言ってもらえて助かった。
俺は息を吐き、サッカーに気持ちをチェンジした。
そうしないとタツに怒られてしまう。

敏感な小高は終始、花を散らして頬を綻ばせていた。
三波といるだけで至福らしい。
小高ってこんな可愛らしい表情になるんだな。

と、ここで、メニュー表が配られた。
記載された内容に、タツはいつも通りのままで、
俺は、ちょっぴり顔を引き攣らせてしまった。
小高と五十嵐は、その場で石と化した。

「三波、このメニューかなりハードじゃない?」
メニュー表を見ながら、小高が苦笑い。
これまでにない圧倒的練習量だったからだ。

「小高先輩は、フットワークはよさそうなので、
 パワー重視のメニューです」
「パワーなんか重視してどうすんの?」
「スクリーンするのに大切じゃないですか。
 FWだってスクリーンはするでしょう?」

言われてみれば確かに、FWもスクリーンをする。
小高は、小柄でテクニックはあるがパワー不足だった。
1対1や、パワー勝負の場面になると、
ボールを奪われることが多いというのは判っていた。
敵もそれを知っていて狙ってくる。
テクニックがある分パワーも同じだけついてくれば、
ボール運びだって今よりもよくなる。

「それから、この前の話を聞いて、
 僕なりにちょっと思ったんですけど‥」
三波が、俺のことを見ながら言った。

「フィールドを立体化してイメージする、
 というトレーニングをみんなでやりませんか?」
想像もしかなった提案に、タツは静かに頷いた。

一方で小高と五十嵐は、何だそれと言いたそうな顔で、
メニューを手に首を竦めていた。

次話へ 前話へ

お気に召しましたら一票お願いします。
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
銀の翼が恋を知る | TB:× | CM : 0
銀の翼が恋を知る 13HOME銀の翼が恋を知る 15

COMMENT

COMMENT POST

:
:
:
:



 
 管理者にだけ表示を許可する


copyright © 2024 BLUE BIND. All Rights Reserved.
  
Item + Template by odaikomachi