BLUE BIND

BL小説ブログ。危険を感じた方はお逃げ下さい。
  [ 銀の翼が恋を知る 15 ]
2012-09-03(Mon) 05:55:00
練習後、2年生と1年生を集合させ、
部室でサテライトアイを説明することになった。
三波とタツは笑顔で、目を輝かせて生き生きしている。
チーム全員でサテライトアイを活用できたら、
マリオにスーパースターも同然だから笑顔にもなるか。

前に立つ俺は、既にげっそりとして疲れていた。
この特殊な能力への、不安や恐怖や好奇の視線、
そういったものが怖かったのだ。
だから、俺はサテライトアイを隠してきたし、
悟られないようにへらへら笑ってきた。

人間は、自分にない能力がある人物のことを、
恐怖に感じて距離を置く。
いわゆる己の身を守るためであり、当然の行為だ。
マジメに説明して理解してくれたのは、
これまでタツしかいなかった。
俺にとってのタツは安らぎでもあった。

説明をちゃんとできるのか。

期待されるようなことではないのに。

理解されなかったらどうしよう。

不安や恐怖が、ねとねとと俺に纏わりつく。

そんな思いを知ってか知らずか、
タツが俺の隣に立って、マーカーを手にした。
ホワイトボードに、フィールドを書いて、
それにマス目を加えていき、
マグネットで味方チームと敵チームを表示して、
立体のイメージについて説明してくれた。

時々、タツは俺のことを見てくる。
サテライトアイの説明はこれでいいのか、
と確かめるような目に、俺は何度も頷いた。
その度にタツも頷いた。

ここにいるのは、全部で9人。
2年生が、タツ、俺、小高、五十嵐。
1年生が、宍戸、七瀬、山木、九重、
そしてマネージャの三波というメンバーだ。
もちろん3年生は論外となっている。

最初は全員の頭上に、ハテナが浮かんだ。
もちろん、それは当然の反応だった。
サテライトをすんなり受け入れられるのなんて、
後にも先にも、タツぐらいだろう。

俺はサテライトを覚えたわけではない。
むしろ、自然に取得した。
少しずつでも感覚として捉えてもらって、
イメージとして持ってもらえばいい。
そうすれば、ゲームワークも上手くできるはずだ。

「改めて聞くと、リュウ先輩の能力すごいですね」
三波が感心した。

「そうだな。俺もそれは認める。
 だからこそ、やはりキーパーではなくFWに‥」
「タツってばしつこい」
「うむ、すまん」
タツにしては珍しく焦って謝ってきた。

そう言えば、明日は顧問が不在で、
サッカーが休みだったのを忘れていた。
あとで、タツの家に遊び行っていいか、
さり気なく聞いてみよう。

次話へ 前話へ

お気に召しましたら一票お願いします。
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
銀の翼が恋を知る | TB:× | CM : 0
銀の翼が恋を知る 14HOME銀の翼が恋を知る 16

COMMENT

COMMENT POST

:
:
:
:



 
 管理者にだけ表示を許可する


copyright © 2024 BLUE BIND. All Rights Reserved.
  
Item + Template by odaikomachi