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  [ 銀の翼が恋を知る 16 ]
2012-09-07(Fri) 05:35:00
翌日、タツの家に遊びにきた。
家族はみんな外出していて、
タツが1人で留守番だという。

昼ごはん用にパンを持ってきて、
ようやく食べ終えたとこだ。
タツはお茶を、俺はコーヒーを飲んで、
ふうと一息つく。

いつもは何事もきっちり片付けるタツが、
パンのビニール袋をそのままにベッドに座った。
顔がぼんやりしているように見える。
ビニールを纏めてから、タツの隣にそっと座った。

「どうした?」
そう訊ねると、タツは天井を見上げた。
「リュウの力が羨ましい」

サテライトのことを言っているのだろう。
確かにタツにとっては羨ましいのかもしれない。

俺はサテライトアイを隠してきた。
タツ以外に説明しても、
気持ち悪がられたり不気味に思われてきた。
周囲からとても不信がられて、
ようやくこの力が特殊な能力と判ってきたんだ。

三波にサテライトを説明したのは、
能力をサーチする分析が、人よりも長けていたのと、
あとは、信じてくれそうな気がしたからだろう。
まあ、能力を言うのに勇気は要ったけど。

タツはサテライトを羨ましく思ってくれている。
そういう思いにむかついたことも多くあったけど、
今はちょっと嬉しいなって思う。

「あげようか」
「何をだ?」
「俺のこの力をタツに」
「そんなことできるわけなかろう」
なかろうって、ここは江戸時代かっての。

ツッコミを入れようかとして止めた。
言えないムードが漂っていた。

タツが珍しく沈んでいる。
沈んでいるというよりはブルーな感じだ。
きっと、色んなことを考えすぎている。
それが俺には判るんだ。

だからこそ、タツの背を強く叩いてやった。
「いつまでそんなこと言ってるつもりだよ。
 サテライトなんてなくても、
 タツにしかやれないプレイがあるだろ?
 それをやればいいんだよ。俺とタツは違うんだ」

きょとんとしたタツが、ふっと笑った。
「そうだな。俺らしくなくて済まなかった」
「判ればいいんだ」
「なあ、リュウ、キスしていいか?」

今度は、こっちがきょとんとした。

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