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  [ 銀の翼が恋を知る 20 ]
2012-09-24(Mon) 05:25:00
その日はタツと寝た。
寝たと言っても、やらしい意味じゃなくて、
俺達はタツの布団で、並んで寝った。

あどけない寝顔があまりにも可愛いし、
タツの匂いや温もりを、ダイレクトに感じる。
狭かったけど幸せだ。

それにしても。

今年の選抜も、きっと余裕で予選で敗退だろう。

誰もそれを口にはしないが、
1年生と2年生は、肌でそう感じている。
上級生がいるうちは予選突破なんて、
夢のまた夢だ。
俺の代で、どうにか持ち直すしかない。

そう考えて、寝返り打って天井を見る。
すると、いきなり頭を撫でられた。
隣で寝ていたタツが目を開けていて、
ぼーっとしながら、俺のことを見ている。

「起こした?」
「いや」
「まだ夜中だよ」
「ああ、そうみたいだな」

カーテンの向こうはまだ暗く、
朝になるにはちょい早い。
タツにもそれが判ったみたいだ。

そのタツが俺の頭を撫で続けている。
タツがどうしてこんなことをしているのか、
俺にはさっぱり判らないけど、
気持ちよくてつい微笑んでしまった。

タツも、にこりを笑ってくれた。
直後、ふっと笑みが消えた。
「今年の選抜も、ムリだろうな」

同じことをタツも思っていた。
その悲しい思いに、俺はわざと笑った。

「そうだな。やるなら来年になるな」
「勝負は一度だ」
「それもリセットなしだ。きついかな?」
「いや、なくて充分であろう」

タツは俺の頬を撫でて、勝気に微笑む。
「同級生や下級生、みんながいる。
 俺とリュウならトップへ行くことができる」

力強い言葉に、ぶるっと震えが走った。

トップになったシーンが、イメージできる。
勝ちたいって思っていれば勝てる。
タツと一緒なら、どんなことも乗り越えていける。

俺は、頬を撫でるツの手を握った。

タツも強く握り返してくれた。

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