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  [ 銀の翼が恋を知る 21 ]
2012-09-28(Fri) 06:10:00
どうやら親戚に不幸があったらしい。
三波が1ヶ月、部活を休んだ。
1ヶ月後、久々に見た三波は、げっそりしていた。
それなのに、追加でメニューを作成しました、
とメニュー表を渡してくれた。

「メニュー表はいいからゆっくり休んでいろ」
厳しいタツでさえ優しく声をかけていた。
三波は笑顔で返事し、それでも、
決してグラウンドから離れなかった。

今グラウンドから離れてしまったら、
三波はそれこそ崩壊しそうだった。
親戚の不幸はそれほどまでに三波を脆弱させた。
細かった体が、やつれていった。

小高は特に心配し、自宅は逆なのに下校を共にした。
初めの頃は、さすがの三波も無言だったらしい。
小高もムリに会話をしなかった。
誰にだって喋りたくない時くらいあると悟っていた。

徐々に、ぽつぽつと三波が小高と会話するようになった。
そのせいかどうかは判らないけれども、
三波がちょっとずつ元気になっていった。

やつれてしまって病気も悪化してしまったらしい。
それでも、グラウンドに立つ姿は明るくなってきたし、
笑っているところも見られるようになった。
相変わらず小高は、三波といるだけで幸福そうだが、
それが功を奏したんじゃないかと俺は思う。

夏になり、秋になり、冬季の選抜が終了し、
三波が作ってくれたメニューで身体が鍛えられてきた。
そして、俺達はとうとう3年生になった。

入部してきた新入生に、三波の中学の後輩の、
仁志という人物がいた。
1年生のくせに身長がかなりある。
金髪で、髪なんか俺よりも長いけど、
体ががっしりしていてGKの腕もよさそうだった。

容姿はちゃらちゃらしていて尻軽そうだけど、
小高以上に、三波のことを慕っている様子だし、
三波からの情報では、意外にもサッカーは真剣にやる、
とのことで期待していて大丈夫だろう。

仁志以外に、1年生は11人も入部した。
3年生が3人、2年生が5人、合計で19人という、
全国を狙うにはちょっと人数の少ないチームだが、
まあ、なんとでもなるだろ。

キャプテンは自然とタツに決定し、
ようやく俺達のサッカーが始動する。

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