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  [ 銀の翼が恋を知る 24 ]
2012-10-11(Thu) 06:30:00
通販でローションとコンドームを購入した。
あとは、次のオフ前を、ただただ待つばかり。
やり方なんて、女とするのと同じだろう。

ただ、どっちがどうするかだ。

俺はタツを抱きたい。
言ったらタツは驚くだろうか。
いや、タツのことだから、
そうかと笑ってくれて終わりだ。

練習が終わって自宅に戻る。
シャワーと着替えは学校でしてきたから、
夕食用、ってわけじゃないが、
テーブルに無造作にあるパンを頬張った。

うちの親はパン屋をしていて、
ここは店舗兼住宅なんだ。
惣菜パンを夕食にして、シャワーを浴び終わると、
仕事を終えた両親が戻ってきた。

「おかえり」
「ただいま。ごはん食べた?」
聞いてきたのは母さんだ。
経理やレジを担当している。

「うん」
「そう。隆一、悩み事ある?」
「ない人なんかいないと思うけど」
「それもそうね」

そう笑って、母さんは着替えに行った。
父さんが母さんを追うように、
疲れ切ったような溜め息をつきながら、
リビングにやってくる。

「おかえり」
「おう。ごはん食べたか?」
母さんと同じことを訊ねられた。
父さんのほうが疲れているくせに、
子供のことを心配しすぎだ。

「ちゃんと食べたよ、新作。
 パンもうちょっと硬くしないと食べづらい。
 それと、具よりもパンの味のほうが濃かったから、
 味を抑えないと具が負ける」
「あ、やっぱりな。俺もそう思ってた」

冷えたビールを飲む、父さん。
具の味よりもパンの味が濃いってこと、
判ってたんなら新しいものを作らないとだめだろ。
なんて、自分が判ってても迷うこともあるか。

「隆一、悩み事か?」
またもや母さんと同じことを訊ねられた。
飲んでいた牛乳を吐きかけた。

「母さんにも聞かれた。悩みのない人はいないよ」
「そうだな。悩んでいても笑っていれば、
 いつかきっと、いいことがあるぞ」

笑顔は福を招く、 が父親の持論だ。
客商売だからこそ余計にそうなんだろう。

俺もそれに習って、いつも笑ってる。
あっけらかんと、けらけらと、
何をしていても楽しそうに。
サテライトを貶されても笑っていたっけ。

「悩みがあるなら聞いてやんぞ?」
タツとのセックスで悩んでいます、
なんて言ったら父さんは倒れるだろう。

「いや、いいよ」
「そうか。だったら早く寝るんだな」
「うん」
父さんも母さんも、俺のことよく見ている。

タツとセックスしたら、
男になったってことも判るのだろうか。
そんなことを考えながらもコップを洗い、
部屋へ戻ってベッドで横になった。

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