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  [ 銀の翼が恋を知る 26 ]
2012-10-17(Wed) 05:25:00
その日はあっさりと訪れた。
急遽、顧問である岸先生が、
用事ができたとのことで明日はオフになった。
それを聞いて、俺はびくっと震えた。

一方、タツはいつも通りそれを聞いている。
俺達の温度差に、もやもやしながらも、
やっぱり嬉しくてにやにやが止まらなかった。

部活終了後、タツが傍にきた。
「リュウ、うちにくるのであろう?」

突然の発言に、少し驚く。
だけど、びくついているのは俺だけだった。

タツの表情には覚悟がある。
今日、結ばれるんだと決めている、
そんな決心が表情にあった。

タツは、俺のことを好きになってくれた。
タツなりに恋について調べてくれた。
キスしようと言ってくれたのも、タツからだ。
ここで決めないと男じゃない。

「もちろん。家に帰ってからタツの家に行く」
手に滲んだ汗を握りながら、笑わずに答える。

騒々しい部室で、タツと見つめ合った。
俺達だけの空間が、やけに静かに感じられる。
自分の心音が、うるさく思えた。

ぎゅっと手を握り直すと、タツが何かを察したのか、
笑いながら頷いた。
「待っているぞ」

タツはさっさと着替えて帰宅してしまった。
俺も服を着て、いつもの家路を小走りでいく。

まだ店にいる親に、
タツのところに泊まることを告げると、
これを持っていけとパンを渡された。
あとこれもな、と父さんは笑いながら、
店に並んでいる飲み物もくれる。

シャワーは学校でしてきた。
汗を流し、特にソレを念入りに洗いまくった。

今日、俺はいよいよ男になる。
考えただけで鼻血を吹きそうだった。

いかんいかん、いつもの俺でいけばいい。

あっけらかんと笑っていればいい。

勃たなくたってタツなら許してくれる。

タツなら、どんな俺も受け入れてくれる。

そう思いながら、荷物を揃えて身支度を済ませ、
とびきりの笑顔で出発した。

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