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  [ 青い空を見上げて2nd 16 ]
2010-07-05(Mon) 06:05:07
笹崎侑津弥


帰りの電車は混んだ。
人がぎゅうぎゅう詰めになっていて、
俺とクレウスの体が、車内でぴったりと密着する。
クレウスは手すりに掴まっている。
掴まるところがなかった俺は、
導かれてクレウスのシャツを握っていた。

冷房があってない存在になっていて、
サウナかと思うほど暑かった。
そんな中カーブで揺れて、人の波がどどっと押し寄せ、
クレウスに体を押し付けてしまった。

「‥ご‥ごめん」
「ノープロブレム」
謝るとクレウスは笑って、ぐいっと腰に手を回してくる。

電車が、少し大きな駅に止まる。
人が引けてやっと落ち着くことができた。

はあっと溜め息をついて、扉にもたれる俺。
クレウスが、そんな俺をガードするように立った。
ラッシュに遭遇したのは久々だ。
胸がむかむかして気持ち悪いのがとれない。

俺が降りるのは次の駅で、言うとクレウスは頷いた。
そして、俺を見ていた目を窓にむける。
「ウツミ、キレイで眩しいデス」

クレウスの目を追いかけると、そこにあったのは、
高速道路のオレンジ色のナトリウム灯だった。
遠くに見える、目に優しいオレンジ色に癒される。
「‥うん。キレイだ」

向き直ると俺を覆いながら、クレウスが迫ってきた。
ちゅっと俺の頬に唇をあてると、
クレウスは赤くなりながら離れていく。

また、キスされた。

これは、スキンシップなのか、それとも。

どうしてキスしてくるのか聞こうとした時、
駅に着いて扉が開いた。

ホームに立つ俺にクレウスが手を振る。
「グッナイ、ウツミ」

呆然と手を振っていると電車の扉が閉まった。
それを見送ってから、駅を出る。

家に帰ってからも気分が落ち着かなかった。
とりあえず、晩ごはんを冷蔵庫に入れてから、
すぐベッドに潜ってしまった。
ジョーがいなくてよかったと、密かに思った。

時間は、10時55分。

ジョーは、どうしているんだろう。

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