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  [ 銀の翼が恋を知る 28(R18) ]
2012-10-23(Tue) 06:00:00
「電気‥頼むから消してくれ‥」
恥ずかしそうにタツが言う。

俺は、タツをベッドに横にしたまま、
シーリングライトをリモコンでコントロールすると、
小さな電気が灯った。
顔色は判らなくなったけど表情は見える。
タツの恥ずかしがっている顔が、ばっちり見えるわけだ。

タツがそれを察したらしく、さっと手で顔を隠した。
そんなタツが可愛くて微笑んでしまった。

「タツ、するよ?」
「ああ」

タツの声が心なしか、小さくて震えている。
でも、それは俺もだし、
上擦っているというか裏返ってもいる。

こんなに格好悪いけど、これが俺なんだ。
そう思えば進んで行ける。

ちゅ、とキスをする。
震えているタツの舌を、するりと絡み取った。
その隙にタツのシャツの上から、胸を触る。

男の胸は、触ったって楽しくないと思っていた。
だけど、タツに限ってはそんな思いもなく、
触っていて楽しいし、何よりも幸せだった。

硬くなった胸に、指の腹を当てて軽く押し込む。
タツの体が跳ね上がった。

「あ、はあ‥っ」
舌を離し、タツが色っぽく喘ぐ。
そんな声を聞いて、むらっと体が疼いてしまい、
胸の尖りを指で摘んだ。

「リュウ‥痛い‥」
「痛いだけ?」
「痛いだけだ。優しくしろ」

目を潤ませているタツに軽く睨まれ、
今度は優しく突起を擦った。
すると、タツが体を少し反らした。
グラビアのポーズみたいに、腰のカーブが色っぽい。

タツの反応がやばいくらい可愛い。
ずきゅん、と胸に見えないものが突き刺さった。
どくどくと心臓の鼓動が音速になりつつある。
だけど、こういう場面でこそ平常心だ。

すうっと深呼吸をして、タツを見つめる。
「これなら気持ちいい?」
「ああ‥いい‥」
「タツ、俺、ずっとこうしたかった」

そう言うと、タツが体を起こした。
何をするのかと思っていると、ごんと音がした。
意味の判らないままなぜか頭突きを食らった。

「え?え?何で?」
「愚か者。ずっとこうしたかったのは、
 リュウだけではないのだぞ」

ぼふ、と怒りながらベッドに沈むタツ。
つまり、タツもずっとこうしたかったってことだ。
いつもマジメな、このタツが、
そんなことを思っているとは知らなかった。

頭の痛さが胸に響く。
俺は胸に手を当て、情けない笑みを浮かべた。

「今の俺、何やっても宙ぶらりんだから、
 こんなんでタツとこうしていいのかなってさ」
「リュウの何が宙ぶらりんなのだ?」

恋愛、勉強、サッカー。
自分にとって大切なもの全部が、
宙ぶらりんに思えてしまう。
だけど、俺はそれを口にしなかった。

「全部」
「だったら、これが終わったら、
 ゆっくりと全部を片付けていけ」

タツの真っ直ぐな目と声が、俺を救う。

俺は、泣きそうにならいながらも笑ってみせて、
タツの胸を吸った。

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