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  [ 銀の翼が恋を知る 38 ]
2012-11-16(Fri) 09:30:00
ゲーム再開と同時だった。

俺は、思い切って走り出した。

同時にサテライトを発動させる。

目が、耳が、全ての五感が澄まされ、
自分のチームと相手チームの全員が、
どこにいて、どういう動きをしていて、
これからどう動こうとしているのか、
ダイレクトに脳に入ってきた。

「6と9、ゴールを頼んだ!
 7、左側、スクリーンしろ!」
指を差しながら言い放つ。

背番号が4の宍戸と、背番号が5の九重が、
戸惑いながらもゴールポストを死守しにきた。
背番号が6の七瀬が、左後方を警戒し、
走ってくる敵チームを、スクリーンで防御してくれる。
その隙に、五十嵐がボールを奪取してくれて、
パスで回しながらセンターラインまで運んでいった。

敵チームが最大限に構えている。
そりゃあ、GKである俺がここまで上がってきたんだ。
俺を気をつけてもらわないと張り合いがない。

みんなのサテライト、なかなかいい線をいっている。
だけど、俺から見れば、やっぱり甘いところが多いんだ。
それを補うために俺はGKではなくFWとして、
フィールドへ走って出ていった。

絶対に、点を取る。

絶対に、ここでは終わらせない。

平面を、個々の点がそれぞれの意思を持って、
あちこち動き回っている。
それを同じ平面で見ていては、
フィールドを制することは難しくなる。
だからこそ、衛星が、
地上を捉えるように立体に見ることができる。

情報を処理し、判断し、予測し、イメージする。

「8!10!13!ボール回して惹きつけろ!」
山木と五十嵐、十和田の3人が、強く頷き、
MFチームとして上手いパスワークを発揮させた。

敵は、思った以上に迷っていた。
そりゃそうだろ、背番号ではない番号で、
GKである俺が指示を出しているんだ。

少し前、スタメンを考えている時だった。
スタメンに選出したみんなの名前に、
たまたま番号があるのを発見してしまった。
だから、ユニフォームを配っている時に、タツに言った。
ユニフォームを名前の番号にすればよかったな、と。

敵の7割が、MFの近くに寄っていった。
残り3割は、1割がタツ、1割が俺達のゴール前、
1割が自分達のゴール前と、
おろおろと迷いながらポジションに着いている。

ポイントが偏りだした。
同時に、MFのボール回しがきつくなった。

「こっちによこせ!」
そう言うと、五十嵐が、頼んだぞと言いたそうな目で、
いいパスを送ってきた。

みんなのお陰でいいスペースが空いた。
今度は、俺がドリブルをしながら走っていく。

ボールを蹴りながら走るのが、すごく気持ちいい。
FWから離れてかなり経つのに、体はまだ感覚を覚えてる。
そんな些細なことが、すごく嬉しかった。

同時に、タツがゴール付近のスペースまで疾走する。
反対側に小高、タツをフォローする陣形にいるのが舎人、
それぞれが役割を理解していた。

「タツのところに飛んでいけ!」
空いたスペースにいるタツへキラーパスを送った。

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