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  [ 雨上がりの最果てで 6 ]
2012-12-12(Wed) 05:30:00
ゲームは、いつも通りまったりと進んだ。
レベルを上げたり、武器を作るための素材を集めたり、
レアアイテムを狙いに行ったりと、
狩りが終わって休んで、狩りが終わって休んで、
途中で1回、狩りをしに星ちゃんもきて、
ようやくレアアイテムをゲットすることができた。

「俺っていつも仲村さんに助けてもらってる‥」
波多野がベッドで項垂れる。

床であぐらをかいていた俺は、どきどきしながらも、
思い切って手を伸ばして、波多野のことを慰撫するように、
とんとんと足を軽く叩いてやる。
波多野に接触し、さっきよりもっとどきどきした。

「まあまあ、それはお互い様だから」
「そうかもしれませんけど、ゲームだけじゃなくて‥」
「バイトのこと?あっちのがお互い様じゃんか」
「いや、あの、一昨日の‥こととか‥」

項垂れていた波多野が、軽く息を吐く。
一昨日と言えばキスシーンを波多野が見てしまい、
ちょっとパニックになったことしかない。

「あそこにたまたま仲村さんがいなかったら、
 俺どうなっただろうって考えちゃうんですよ‥」
えへへ、と力なく笑った波多野。

「そんなにショックだった?」
「今考えればもう平気なんですけどね。
 ああいうのって見るの初めてだったので、
 やっぱりびっくりしました」
「まあ、そんなもんかもな」
「仲村さんは2人のああいう光景、
 見たことあるって言ってましたよね?
 やっぱり最初はびっくりしました?」
「え?あ、ああ、まあ‥うん‥」

俺のびっくりは波多野のびっくりと違う。
正直、羨ましいと思った。
羨ましさは今でも変わらない。

俺もしてみたい。

俺もやってみたい。

片思いをしている波多野と、俺も。

手を伸ばせば顔に触れるほど、
こんなに近くにいるのに、それができない。
もどかしくて胸が苦しくなる。
だけど、しょうがないんだ。

波多野が、俺のこんな思いを知ったら、
自然と離れ、会話も減る。
そうやって俺と波多野は別れてしまうんだ。
だったら、ずっとこのままでいい。

「そりゃあ、びっくりしたよ。
 だけど、いいんじゃないかな。
 男でも女でも、好きな人と結ばれるって、
 すごいなって俺は思っているから」
言いながら弱々しく笑ってみせた。
曲がりなりにも本音を言ったつもりだ。

波多野は、はっと目を開いた。
だけど、言ったことを判ってくれたらしく、
ゆっくりと優しく笑ってくれた。
その可愛らしい笑顔に、きゅんと胸が鳴った。

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