BLUE BIND

BL小説ブログ。危険を感じた方はお逃げ下さい。
  [ 雨上がりの最果てで 11 ]
2012-12-21(Fri) 04:25:00
朝、カーテンが開けられた。
もうりょっと寝ていたかったのに、
日差しの眩しさが両目を襲ってくる。

昨夜は、俺の人生の中で一気に、
色んなことが起きりすぎた。

襲って、諦めて、泣いた。

寝る前、ほんの少しだけ泣いた。
理性を抑えられなかった自分が悔しかった、
という思いからの涙だった。

瞼がちょっと腫れている気がする。
情けなさすぎて見られたくない。
布団を顔にかけると波多野に剥がされた。
それも、あっりと、明るい声で。

「仲村さん」
そこにあったのは、波多野の笑顔。
満面の笑顔が、きゅんと胸に突き刺さる。

直後、さっと顔を背けた。
どんな顔をすればいいか判らなかった。

「おはようございます」
「はい‥おはようございます‥」

敬語に釣られて敬語で返すと、
ぷっと笑われた。
俺は恥ずかしくなって真っ赤になった。

「もうちょっとで朝ごはんですよ」
「はい‥」
「タオルどうぞ。顔、洗ってきて下さい」
「はい‥」
「顔を洗えば瞼の腫れも、
 ちょっとは引くと思いますから」

瞼の腫れ、しっかりと見られていた。
くそ、何か悔しいから言い訳してやる。

「瞼が腫れたのは別に泣いたからじゃ‥」
と言って振り向くと、
波多野がシャツを脱いでいる場面だった。

ジャージから洋服へと着替えているようだ。
細い腰、見えそうで見えない胸、
滑らかな肩甲骨が輝いている。
ただの着替えの場面なのに、波多野の上半身が、
俺には目の毒だった。

うわあ、と悲鳴を上げたいのを必死に堪え、
ぐきっと首が鳴るほど顔を背けた。
いくらなんでも無防備すぎるだろう。
昨日、俺にされたことを忘れちまったのかよ。

見ていたい、いや、見ちゃだめだ。
ちょっとなら見てもいいだろう。
諦めるって決めたんだから見ちゃだめだ。

理性と格闘し、うんうんと唸っていると、
着替えが終了した波多野が、俺の顔を覗き込む。
その角度が可愛くて、思わず頬を赤らめた。

「もうちょっとで朝ごはんですよ?」
「はい‥」

さっきと同じことを言われた俺は、
波多野が置いてくれたタオルを持って、
ダッシュで顔を洗いにいった。

次話へ 前話へ

お気に召しましたら一票お願いします。
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
雨上がりの最果てで | TB:× | CM : 0
雨上がりの最果てで 10(R18)HOME雨上がりの最果てで 12

COMMENT

COMMENT POST

:
:
:
:



 
 管理者にだけ表示を許可する


copyright © 2024 BLUE BIND. All Rights Reserved.
  
Item + Template by odaikomachi