2012-12-25(Tue) 07:00:00
バイトの後半は倉庫の整理だった。
商品の在庫を確認し、リストに纏めたり、 営業が明日にでも得意先に運搬するものを、 ここで集めたり包んだりと、 細々とした作業なんかを倉庫でやる。
そう言えば、ここは段ボールが重ねてあったり、
倉庫棚も少し不安定で、危なっかしい場でもある。 だけど、整頓するような時間はどこにもなく、 いつもこのままにしてしまっていた。 そんなことを佐伯さんに愚痴ったことがある。 そうしたら、営業部長経由で、 直々に社長へとその要望を提出してくれた。 だから、後日、棚卸を兼ねて業者を呼んで、 バックヤードの総整理がされることが決定している。 さすが仕事の早い営業マンだ。 キスさえしなけりゃパーフェクトだ。 1人で細々と、バックヤードで作業していると、 他のバイトがここに入ってきた。 店舗に足りなくなった商品を取りにきたらしい。 笑顔で挨拶し、他のバイトは店舗に戻っていった。 静かに作業を続けると、誰かがまた入ってきた。 今日は休みのはずの波多野が立っていた。 「お疲れ様です、仲村さん」 いつもの笑顔で挨拶してきた。 波多野にとって昨夜にあった出来事は、 なかったことになっているのかもしれない。 そう思うと、ずきんと胸が痛んだ。 「バイト休みじゃなかったっけ?」 「休んだ人がいて、代わりに出ました」 「そっか。お疲れ様」 精一杯に笑ってみせると波多野が近づいてきた。 次話へ 前話へ お気に召しましたら一票お願いします。 |