BLUE BIND

BL小説ブログ。危険を感じた方はお逃げ下さい。
  [ 雨上がりの最果てで 14 ]
2012-12-27(Thu) 07:10:00
波多野がちょっぴり緊張している。
目を潤ませながら俺を見つめ、
微妙な距離を、じりじりと詰めてきた。
「仲村さん、ちょっと話いいですか?」

真剣な眼差しに仕事を中断する。
ってか、改まってこんなこと言われたんだから、
そうするのが礼儀であろう。

「いいよ。何?」
怒られるか、呆れられるか、
いや、もしかしたら殴られるかもしれない。
それらを覚悟しながら見据える。

俺はもう諦めると決めた。
ぐっと汗の滲む両手を握り締める。
何をされても受け入れてやる。

「どうしてあんなことしたんですか?」
直球ストレートな質問だった。

正直な回答は告白と同様だ。
好きですなんて言いたくない。
そんなことを言っても言わなくても、
俺のことなんか引かれている。

だったら開き直ってやる。

「どうしてって、したかったから」
「したかったからですか‥」
「そうだよ。それしかないじゃん。
 ってか俺がいるのにするほうが悪いんじゃないの?」
「それは‥そうかもしれませんけど‥」
「キスくらいで勃つなんて、波多野って童貞?」

波多野が赤面し、ぶわっと汗を拭き出させた。
16歳で童貞、なんてそこら辺にざらにいるだろう。
そりゃあ、俺は珍しくちょっと早く終わったけれども、
今の言い方は、いくら何でも悪すぎる。

「ごめん、言い過ぎた」
「いいんです‥童貞なのは本当ですから‥」

波多野が無経験で、ほっと安堵した。
こんな自分が最低すぎて、ほとほとイヤになる。
うるうると目が潤んできた。
ぐっと唇を噛むと、赤面したままの波多野が、
睨むように見てきた。

「でも、仲村さんには関係ないじゃないですか」

どうやら開き直ったのは、俺だけじゃなかったと見える。

次話へ 前話へ

お気に召しましたら一票お願いします。
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
雨上がりの最果てで | TB:× | CM : 0
雨上がりの最果てで 13HOME雨上がりの最果てで 15

COMMENT

COMMENT POST

:
:
:
:



 
 管理者にだけ表示を許可する


copyright © 2024 BLUE BIND. All Rights Reserved.
  
Item + Template by odaikomachi