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  [ 雨上がりの最果てで 15 ]
2012-12-28(Fri) 07:00:00
「そうだな、俺には関係ない話だな」
言って笑うと、波多野が泣きそうな顔になった。

ああ、もうこれで嫌われたな。
諦めようって決めたんだから、
嫌われても構わないか。
あんなことして今までのようには戻れないもんな。

あの時は、理性が働かなくて衝動が止まらず、
やれるところまでやってしまった。
タイムマシンのある世界じゃないんだから、
後悔したって仕方ない。

波多野が、くるりと踵を返した。
ひく、と声を上げて歩き出す。
泣かしてしまったのが判ったけど、
どう慰めていいか判らなくて、そっと見送った。

波多野の歩く方向に、積まれていた段ボールが、
今すぐにでも崩れそうだった。
あんなに大きい段ボール、落ちてきたら危ない。

「波多野!こっち戻って!」
咄嗟に叫んだけど波多野は戻ってこない。
それどころか、俺を試すかのように立ち止まって、
涙を見せるかのように振り返る。

バカ、止まったら余計に危ないんだよ。

気が付いたら俺は走っていた。
そして、波多野の右腕を、ぐいっと引っ張った。

段ボールから波多野を守らないと。

一途な思いだけで波多野を庇うように、
ぎゅっと抱き締めると、段ボールが落ちてきた。
相乗効果で、向かいの段ボールも落ちてくる。
段ボールの隣にあった棚も、どうやら崩れたようだ。

「仲村さん!仲村さん!」
腕の中で、俺を呼んでいる波多野の声が聞こえた。

心配してくれている声色に、ほっとした。
大丈夫、突き飛ばされたって今は離すもんか。
波多野のことは絶対に、俺が守る。

頭や体に、段ボールが落ちてくる。
意識が朦朧としながらも波多野に微笑んだ。
「俺‥波多野のこと本当は‥」

ここで意識が途切れた。

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