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  [ 雨上がりの最果てで 16 ]
2012-12-31(Mon) 04:55:00
目を開けるとベッドに俺が寝ていた。

ベッドに俺が寝ている。

ベッドに寝ている俺がなぜか見える。

「え?あれ?」
ふわふわと俺の体は浮いていた。
だから、ベッドに寝ている俺のことを、
こうして見下ろせるし、
浮きながら自由に動くこともできる。

俺、打ちどころが悪くて死んだのだろうか。
それにしては、ベッドに寝ている俺には、
たくさんの管が繋がれていて、
息もちゃんとしているように見える。

ここは病院の個室みたいだ。
そんな金どこにあるんだって話だよ。
俺のバイト代だけじゃ賄えないぞ。

ばたん、とドアが開かれると、
血相を変えた兄貴が立っていた。
その隣には、兄貴の同性の恋人の、
満さんも立っている。

「郁央‥」
兄貴は蒼白し、ベッドに駆け寄って、
ベッドに寝ている俺のことを揺さぶった。
寝ているだけの俺は、されるがまま揺さぶられ、
瞼すら開けず、じっと寝ていた。

「郁央君‥」
満さんが兄貴の傍にきて、そっと肩を抱いた。
2人は、涙を滲ませながら目を合わせる。

そんなシーンさえ、俺にはラブラブに見えた。
面白くない光景に、ちょっかいを出してやろうと、
ふわふわと浮きながら満さんの傍にむかった。
そして、膝かっくんをしようとした時、
すかっと空振ってしまい、こっちが膝折れした。

びっくりして、他のものに触れてみる。
ベッドにも、丸椅子にも、ドアにも、
今の俺は、どんなものにも触ることができなかった。

「兄貴!満さん!俺ここだよ!」
2人の背後で、喉が枯れるほどの声を出してみても、
兄貴も満さんも微塵も動かなかった。
それどころか、ベッドに寝ている俺のことを見つめて、
悲しそうな顔をしている。

俺、どうなっちゃったんだろう。

死んだのか、生きているのか、判らない。

こんこん、とノック音がすると、
ファイルを片手に看護師が入室してきた。
それほど珍しくなくなった、男性の看護師だ。
その後から、キレイな女医さんも入室してきて、
2人は兄貴達に一礼した。

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今年の更新は、これで最後となります。
拙い小説を読んで頂いている皆様のお陰で、
今年1年も楽しく小説を書き続けることができました。
1年間大変お世話になりました。
来年もどうぞ宜しくお願い致します♪


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