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  [ 雨上がりの最果てで 37 ]
2013-02-03(Sun) 05:45:00
意識不明になってから3日目。
ベッドでの俺は静かに目を閉じたままだ。

「郁央、元気?」
ぽん、と現れたのは母さんだった。

「こっちの俺は元気だけど、
 あっちの俺は元気じゃないよ」
「そうよね。困ったわね。
 まあ、私はこうして郁央と話ができるから、
 嬉しいっちゃ嬉しいんだけど」

うふふ、と照れる母さん。
若くして亡くなったからだろうか、
母親ってより女子みたいだ。

ふと、母さんの顔が、ふっと曇った。
「でも、いつまでも喜んでいられないわ」

ベッドで寝ている俺のことを見てから、
こっちの俺を見る母さん。
眼差しがとても真剣で、イヤな予感がした。

「郁央、よく聞いて」
「何?どうかしたの?」

イヤな予感のせいで、どきどきしてきた。
怒られる訳じゃなのに、すっと血の気も引いた。
ごくり、と喉が鳴る。

「期限が、寝込んでから1週間みたいなの」
「期限?」
「復活するためのチャンスの期限よ。
 愛があれば戻れるって言ったの覚えてる?」
「うん、ちゃんと覚えてるよ」
「郁央がこうなってからもう3日だから、あと4日よね。
 4日間で愛がないと郁央は戻れなくなるの」

さっきよりも血の気が引いてしまった。

4日間で、愛がないと俺はあっちに戻れない。

愛とは何なのか、それをどうすればいいか、
そこから先は自分で動かないといけない。
母さんは俺のことを導くだけなんだ。
どうしよう、どうしたらいいんだろう、
そんな思いが、頭の中をぐるぐると駆け巡る。

「郁央、何もしてあげられない母さんでごめんね」
母さんが俺のことを、ぎゅっと抱き締めてきた。

冷たかった体が、温もりに包まれる。
少しパニックに陥っていたけど、
母さんのお陰で、ちょっとだけ冷静になれてきた。

「母さんのせいでも誰のせいでもないよ」
「そうだけど‥ごめんね‥」
「そんなに謝らないでよ母さん」
腕の中で、小さく首を振ると、
抱き締めてくれている力が増した。

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