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  [ 雨上がりの最果てで 40 ]
2013-02-07(Thu) 05:00:00
運命の7日目。
ヒントもなく、どうすればいいかも判らないまま、
とうとうこの日が訪れてしまった。
窓から朝日を眺めて、俺はふと思った。
なるようにしかならないよな、と。

家族にも友達にも仲間にも、周りにも恵まれて、
それなりに、いい人生だった。
最後の最後で、波多野のソレに接触しちゃったし。
好きでいることは諦めたけど、それだけでいい。
もう1回触れたいけどそれは贅沢ってもんだ。

この日の午前中は静かだった。
珍しく誰もこなかった。
昼が過ぎ、午後になってから兄貴がやってきた。
それも、満さんを連れてだ。

しばらくして阿久津と笹崎もやってきた。
挨拶後、兄貴や満さんと会話を交わしている。
なにやら顔見知り同士っぽい。

そこへ、ヒロさんとカズさんもきてくれた。
こちらは阿久津と笹崎と顔見知りみたいで、
楽しそうにお喋りしている。
いつからそんなに仲良しだったのだろう。
世間が狭すぎて怖くなった。

満さんの携帯が鳴った。
手で口元を隠し、病室でしばらく会話してから、
すぐに戻りますと言って、ここを出て行った。
兄貴も、ここにいるみんなも、首を捻る。

数分後、満さんが戻ってきた。
背後に2人、背の高い人と背の低い人がいる。
ひょっこりと顔を出してきたのは、
フォーミュラニッポン参戦中のチームESドライバー、
後藤野光選手と、後藤野選手とチームメイトの前澤聖だ。
病室にいた全員が、ざわついた。

「光は私の、いとこなんです。
 タイミングよくここへきたとのことなので、
 郁央君の励みになればと勝手に連れてきました」
と笑った満さん。

満さんは、俺がカーレースが好きなのを知っている。
だからって当の本人を連れてくるなんて、マジで驚いた。
それでも俺はすごく嬉しかった。

みんなを見渡して後悔するのをやめた。

何がどうなってもしょうがないって思った。

俺はやりたいことをやって死ぬ。
最後に波多野と、あんなことができただけでも、
幸せだったんじゃないかって思う。
どうせなら死ぬなら笑いながら死んでやろう。

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これで役者は出揃いました。

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