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  [ 雨上がりの最果てで 49 ]
2013-02-18(Mon) 06:30:00
俺の目が覚め、それからどうなったのか。

阿久津が急いで谷村さんを呼んできて、
谷村さんが急いで医者を呼んできて、
俺は、やっと意識回復の太鼓判をもらった。

翌日になって再検査された。
身体や臓器に、異常がないのを確認してもらい、
点滴を抜いてもらって食事が始まった。

1週間も寝たままで身体は衰えている。
もちろん、すぐにごはんが食べられるはずもなく、
ごはんやおかずを液体から固形にしていった。
最初は、食べてるってより飲んでるって感じだった。

ごはんがおかゆになった頃にリハビリが始まった。
ちょっとずつ歩けるようになってみて初めて、
浮いていた頃がとても懐かしくなった。
同時に、母さんのことも懐かしく思うようになった。

そして、あっという間に退院を迎えることができた。

兄貴と満さんと波多野が迎えにきて、家に戻る。
そこには、父さんと、静流さんと茉麻ちゃんもいた。
ご馳走も用意され、みんなで俺を迎えてくれた。

茉麻ちゃんに抱っこをせがまれて抱っこしてあげると、
あんたん、と言ってくれて泣きそうになった。
静流さんと兄貴も、うるうると目を潤ませている。
父さんはわざとそっぽ向いていたっけ。

静流さんと茉麻ちゃんは、父親と一緒に、
明日になったら帰宅するらしい。
何だかちょっと寂しくなってしまった。

随分とみんなに心配をかけてしまい、
自宅に戻ってからみんなに連絡を入れまくった。
みんな、元気になってよかったって安心してくれて、
俺はごめんなさいではなくありがとうと伝えた。
ありがとうって、本当にいい言葉だ。

再びいつもの生活に戻ろうとしていた。
兄貴と俺の生活に、バイトも明日から開始される。
もうちょいで大学の入学式だってあるんだ。
俺のことをどこかで見守っている母さんのためにも、
しっかりしていかないとな。

バイト当日はみんなに歓迎されてしまった。
社長直々に、花束までもらって恐縮してしまった。
倉庫はあれからすぐに整頓されたらしく、
新しい棚に、新しい段ボールに、通路もきちんと確保され、
見違えるようにきれいになっていて驚愕した。

その日は、波多野もバイト出勤していた。
退院後、しばらく波多野とは逢瀬できなかった。
バイトで休出しながらお見舞いにきていたせいで、
とうとうダウンしてしまったそうだ。
でも、メールや電話はそれなりに頻繁にしており、
顔を合わせるのだけが久し振りだった。

久々のバイトだけど疲労はあまりなかった。
むしろ、またバイトできるようになったことが、
俺にとってはすごく嬉しかった。

バイトが終わって、波多野と共に帰宅する。
その途中で、シャツを引っ張られた。
キスでもしてくれるのかと思いきやそうではなかった。

「あの、明日、家族みんなが外泊するんですけど、
 家によかったら遊びにきませんか?」
波多野が赤面し、思い切ったように俺に言う。

おじさんとおばさんは、町内会の旅行。
妹である星ちゃんも、それに着いていく。
だから、たまたま明日は波多野が1人きりらしい。

これは、もしや、あれこれ期待していいのか。

ばくばくと心臓が激動している。

唾を飲みまくって喉を潤してから、行きたいと伝えた。

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